内容説明
道ばたでないていた子犬の「ぼく」を、みくちゃんって女の子が拾ってくれた。ぼくの新しい生活がはじまった。みんな一緒の楽しいくらしは、ずっと続くと思ってた。でも、家族はだんだん離ればなれになって、ぼくは一人取りのこされたおとうさんと「旅」に出ることになったんだ―日本中が涙した大ヒットコミック、その感動が小説になって蘇る!
著者等紹介
原田マハ[ハラダマハ]
1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。伊藤忠商事、森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館勤務を経て、2002年にフリーのキュレーターとして独立。2005年『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞。2012年『楽園のカンヴァス』で第25回山本周五郎賞受賞
村上たかし[ムラカミタカシ]
1965年大阪府生まれ。1985年「週刊ヤングジャンプ」にて『ナマケモノが見てた』でデビュー。2000年『ぱじ』で文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SJW
199
またオフィスで泣いてしまった❗星守る犬とは、犬が星を物欲しげに見続けている姿から、手に入らないものを求める人の事を指す。コミック「星守る犬」を原田さんが小説にしたもの。地方でケースワーカーとして働く京介が、街の電光ニュースで原野に放置された車から身元不明の男性白骨体と近くに一分白骨化した犬の死体が発見されたことを知る。その犬と飼い主のとても悲しい物語だけれど、とても心が暖まり心に響く作品。結末は悲しいが、その犬と飼い主にとってはとても幸せだったはず。2019/01/25
utinopoti27
135
村上たかし氏の同名コミックスが発表された当時大きな話題になり、その後映画化までされた名作を、原田氏が強い思い入れでノベライズしたのが本作だ。「おとうさん」と犬のハッピーによる、強い絆のエピソードは、読むたびにまた新たな感動を呼び覚ます。とりわけ犬目線での語りで、あえて人間の感情の揺れに関する情報を少なくすることで、余白を拡げ、読み手の想像力をかき立てる手法が、心憎いほどはまっている。手に入らないものを求める人を「星守る犬」と表すそうだが、それが「おとうさん」にとって家族の絆だとしたら、あまりにも悲しい。2020/03/04
kanegon69@凍結中
128
何という優しくて切ない話なんでしょう。そして犬と言うのは何故こんなにも人間を一途に愛してくれるのでしょう。ひとりぼっちになったお父さんと犬のハッピーの強い強い絆に涙が止まりません。これは、切なく悲しい話だと想像してました。でもそうじゃないんです!お父さんとハッピーだけにしか分からない強い愛情に、これはハッピーエンドだったと断言出来ます!村上たかしさんの原作、そして、それに惚れ込んだ原田マハさんの感情豊かで色彩に彩られた文章に、暖かい涙が流れ続けます!動物、特に犬好きな貴方にどうしてもオススメしたい一作❗️2019/11/20
じいじ
114
「捨て犬」だったボク:名前は「ハッピー」と飼主のお父さんの強い絆を綴った物語。家族の一員のお母さんと娘のみくちゃんは、自分勝手になりました。すぐ怒るし、ボクをかまってくれなくなりました。とても寂しい。いつの日からか、ボクの散歩は、お父さんだけになった。だんだんお父さんが大好きになりました。いろいろなことがあって、ボクとお父さんの「旅」が始まります。ハッピーの目から見たお父さんのやさしい人柄を、マハさんの温かい文章で紡いでいます。原作漫画に、原田マハが演出した小説に新たな感動です。また泣いてしまいました。2018/10/11
ハサウェイ
100
捨て犬だったハッピー。彼は家族の一員になる。大好きなお父さん。散歩に行って話しかけてくれ、タバコの匂いのする大きな手で頭をグシャグシャに撫でてくれるお父さん。そんなお父さんとハッピーの長い長い旅が始まる。二人は本当の家族になってお互いを励まし、慰めあう。人間と犬との深い繋がりを犬の視点から描かれてあり、きっと犬は人間の言葉や気持ちを理解して、一緒に生活しているんだと感じる。ハッピーが、お父さんと一緒に夜空の星まで散歩に行く姿が目に浮かび、心暖まる。良かったねハッピー。2016/07/03