内容説明
京都のとある大学。哲学教授・柏木達彦の研究室を物理学専攻の女子学生、咲村紫苑が訪ねる。「パラダイムって何ですか?」――。相対主義や真理論など、哲学の大問題を平易な対話体で読み解く哲学入門ノベル。
目次
第1話 梅雨明けの頃(パラダイムなんかこわくない なるほどの天文学史 ほか)
第2話 夏休み前最終講義(ELT 先入見 ほか)
第3話 ほろ酔い気分(創造的総合 メタファー ほか)
第4話 多忙な夏(クリーンプロジェクト デカルト的不安 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
8
対話編で分かりやすく分析、科学哲学を学ぶのにうってつけの好企画、柏木達彦シリーズの第一段。デイヴィドソン、クワイン、ガダマー、ローティの哲学をポイントを抑えて語りながら、結局のところ完全な相対主義にも実在主義にもならず、そこそこ相対主義でそこそこ自己中に自分のものの見方、世界観を基準にするしかない、という常識が擁護される。分析哲学のトリビアルで地道なところから哲学の核心に大胆に迫る面白さがダイレクトに伝わってくる。扱う哲学自体の性質か、読者の事前知識があまりいらないのもグッドだと思う2012/09/29
Yusaku
5
記念すべき読了100冊目! 難しい。 結局何が言いたいのか掴めなかった。撃沈!それもよし!2017/11/17
たか
4
中身は小説だから好みが分かれるところ〜2017/06/18
いかすみ
2
社会科学における客観性について参考になるかと思い、科学哲学の超入門書を手に取ってみた。対話形式で、難解な表現もなく読みやすかった。気になった概念は「自文化中心主義」で、それは自分の手持ちの知識で世界を解釈せざるを得ないということである。そして、自分の観点と矛盾が生じたら、自説を修正していくという柔軟性のある主義主張である。後半は駆け足でローティの主張が述べられているが、それは客観的真理を写し出すのではなく、様々な語彙で世界を解釈し、様々な人と討論するという民主主義的主張である。2025/08/14
オランジーナ@
2
小説形式の科学哲学の入門書です。しかし解説本にありがちなんですが、生徒のレベルが高すぎて少し感情移入しにくい。あとストーリーがつまらない。2015/11/05