角川選書<br> 建礼門院という悲劇

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角川選書
建礼門院という悲劇

  • 著者名:佐伯真一【著者】
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • KADOKAWA(2014/10発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784047034457

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内容説明

壇ノ浦の合戦で生き残った建礼門院は尼僧となる。京都大原の隠れ家で、訪れた後白河法皇に彼女は涙ながらに語り出す……。『平家物語』最終巻「大原御幸」に描き出された物語に潜む事件の秘密をあぶり出す。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

Toska

20
建礼門院徳子という歴史上の人物が何を語ったのかではなく、物語が彼女に何を語らせたのかを探る。いかにも文学の研究者らしいアプローチ。中世においては、事実を肉付けして物語ができるとは限らず、逆に物語のパターンが先行し、そこへ事実(実在の人物や事件)を落とし込んでいく場合が多い。建礼門院の他、卒塔婆小町や和泉式部などの例を挙げてこれを証明していく著者の鮮やかな手腕。同時に、女性の「罪業」を強調する中世仏教的な世界観の残酷さも感じた。2024/11/30

wang

4
かつて最高位の女性として多くにかしずかれ欲するところ全てかなえられた建礼門院徳子。源氏の世に成りただ一人身よりもなく落ちぶれた後。人々がどのように評したのか。彼女に仮託して何を語ろうとしたのかを探求する。日本では王朝革命がなかったので前代の王家の人々が打ち捨てられることがなかったというが、天皇の母が落ちぶれ貧窮し好奇の目にさらされながら生きながらえたというのは悲惨な歴史だ。2012/11/25

たらら

4
平清盛の娘、高倉天皇の女御にして、壇ノ浦に入水した安徳天皇の母、中宮徳子こと建礼門院。平家滅亡後も生き長らえ、平家物語の最後に生きながらすべての地獄・六道を見てしまったと語るこの女性こそがこの長い長い物語をくくる主人公だったのか! と興奮しながら読了。小町伝説との関係、近親相姦をほのめかす「畜生道」の真意、禽獣から聖女への転換をさぐる後半は圧巻。うーん、これは平家物語を読み通さないと。2009/10/02

アカショウビン

2
佐伯先生の展開に惹きつけられた。確かに建礼門院ほど悲劇的生涯もない。母時子が8歳の安徳天皇を抱いて入水したのをどう受け止めたらよいのか。小野小町説話との関係、六道の中の特に畜生道を巡る考察は一気に読んでしまった。あらゆる苦しみをなめたからからこそ、建礼門院は神聖な存在となったのだ。建礼門院の思いを考えると同時に、天皇を神器と共に海に沈めてしまったことへの恐れ、鎮魂供養から物語に加えられたという平家物語成立からの考察もなるほどと思った。九州での苦難の描写なども忘れ難い。辛かったろうなぁ。2025/11/24

(ま)

1
京都 大原 寂光院♪2017/12/25

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