内容説明
グレゴリウス聖歌やルネサンスの音楽から、ブーレーズ、シュトックハウゼンらの現代音楽まで―音楽史の流れをたどりながら、きくものに忘れがたい感動をあたえる傑作300曲を選び、文化や芸術への深い洞察に満ちた解説を加える。音楽の限りない魅力と喜びにあふれる「名曲の歴史」。
目次
グレゴリウス聖歌
セクエンティアとトロープス
オルガヌムとモテット
トルバドゥール、トルヴェール、その他
アルス・ノーヴァとポリフォニー
ネーデルランド楽派からイタリア・ルネサンスへ
イタリアとフランスのバロック
バッハとヘンデル
グルック、ハイドン、モーツァルト
ベートーヴェン
ロマン派の天才たち
ドイツの後期ロマン派
ロマン的民族主義
ドビュッシーとその周辺
二十世紀の音楽
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Book & Travel
37
音楽評論の先駆者と言われた吉田秀和氏の名曲選。中世グレゴリオ聖歌の時代から20世紀までの名曲300曲が選曲されている。ここ数年でクラシックに興味を持った私のような俄ファンには、曲の解説などは高度で難しいが、音楽史の流れや作曲家の位置付けが掴めると共に音楽の奥深さを感じることができ、刺激的な読書だった。自身でも述べられているように、かなり主観が入っているが(ショパン、チャイコフスキー辺りに厳しい)、そこもまた面白いところ。名随筆家だけに文章に惹き付けられる所が随所にあって、他の著作も読んでみたくなった。2019/07/03
うた
12
何か未知の分野に足を踏み入れる時、信頼できる導き手が一人いるとありがたい。博識でその分野への愛に満ちた言葉で語る人であればなおさらで、音楽を聴くときに吉田秀和はそういう良い批評家でいてくれる。もちろん実作に触れるまでは音楽はわからないものだし、吉田さんもカバーしていない領域もある。それでも数え切れないほどのクラシックを選ぶ時の一つの指針となってくれる名曲選です。2016/02/27
ウノ
10
名曲300選ときくと、安っぽく感じるかもしれない。けど、一曲目が「宇宙の始まりの音」であることから分かるように、グレゴリオ聖歌から20世紀の音楽まで幅広く丁寧に扱ってる。まあ、そんなに一つ一つ詳しくはないので吉田秀和を知るといった感じの方が大きいかもしれない。2019/03/15
風に吹かれて
10
『バッハとヘンデル』の章は144ページから。それまではグレゴリウス聖歌以後の中世の音楽が語られる。教会で歌うことが実質的な音楽の発展につながっていることは薄ぼんやりと知ってはいたが、アッシジのフランチェスコが教会の外で歌うことを推奨していたとは知らなかった。ヨーロッパの詩や文学にも造詣が深い吉田氏が選ぶ曲は、いわゆる俗的有名曲を排しながら、音楽を革新していった数々の作曲家から選んでいく。私には名前さえ知らない作曲家も多いが、せめて心の中だけは自由でいたい、と思うとき、吉田氏の本はとても大切だ。2015/10/09
栗山いなり
6
音楽の世界の奥深さと自分の音楽についての知識不足を分からされた一冊。バッハモーツァルトベートーヴェンドビュッシー辺りを熱く語ってた一方で物足りなさを感じている時代にはそれをはっきり文章に表していたのは素直でいいと思った2018/08/05