内容説明
男は、ある女性から自殺幇助を頼まれた。
投資信託専用の運用会社に勤める40歳目前の永江は、離婚後、あるきっかけで、大学時代の同級生・由希と出会う。10数年ぶりの再会。季節が巡るように、お互い気になる存在に変わっていくが、由希は心肺を病んでしまう。そして永江に「これ以上苦しみたくない」と、自殺幇助を願い出る。永江には、20代の恋人・沙織がいたが、由希といる時間のなかに「かけがえのない瞬間」を見いだすようになる。そんななか、友人で建設会社副社長の波佐間が、単身山に登ったまま妻子を残して連絡を断ってしまう。彼を捜すべく山に向かった永江は、ある事に気付かされる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マッピー
16
恋愛と死病。何がいやってこの取り合わせの小説が嫌い。主人公は請われて入った投資信託の運用会社でそこそこのポストについている。プライベートでは結婚を視野に入れた、20代の恋人がいる。それとは別に、心肺を病んで死を待つだけの大学の同級生・由希と穏やかな時間を過ごしている。これって、男の理想の生活なんじゃないかと思う。そもそも主人公が二人の女性のどこに惹かれ愛しているのか、逆に彼女たちは彼のどこに惹かれ愛しているのか、全然わからない。ただ、頭の中で作られた物語のように感じた。2025/05/09
Yuna Ioki☆
7
物凄く淡々とした文章なのだけど取り扱っている内容は経済や平和、自殺や障がいや生殖医療などなど重い。普段あまりこういうタイプの小説は読まないのですんなり頭には入って来ない(^=^;この一冊で片山恭一の小説にちょっと苦手意識が出てきてしまったかもしれない(^=^;しばらく(?)この人の小説は読まないと思われ(^=^;2013/09/21
石井直樹
1
沙織にきっぱり別れを告げるところはしっかり描写しておいて、由希との別れをあんな風に終わらせるなんて…。2009/09/02
スパミ
0
死が二人を離すその最終点がもちろんメインだけど、そこまでの道のり、心の動きを緻密に描くことでそれに替えている。最後はどうなったのか、どういうやりとりがあったのか、何も描かれていない。わからないだけに、堪える。。これは効くな~・・2011/09/26
カッキー
0
最後の花の情景にちょっとうるっときた。2015/06/03