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内容説明
積極的な匂宮と沈静で冷静な薫との間で揺れる浮舟が失踪した・・・・・・。情熱歌人・与謝野晶子が恋物語としての面白さを濃縮して翻訳した『新訳源氏物語』。読みやすくて挿絵入り。「早蕨」から「夢の浮橋」を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Gotoran
18
与謝野(訳)源氏(物語)最終巻、「早蕨48帖」(薫の君25歳)~「夢浮橋54帖」(薫の君28歳)。源氏の君、亡き後、その義子の薫の君と源氏の外孫の匂宮を中心に宇治の八の宮の姫君たちとのたおやかな交流・生活が繰り広げられる。そんな中、薫の君と匂宮との板挟みで苦悩した挙句、取った浮舟の君の行動とその顛末が切なくも物悲しさを感じる。“もののあはれ”を垣間見る。また、機会を作って、田辺、谷崎、寂聴の源氏も読んでみたい。2013/08/24
花乃雪音
15
「早蕨」から「夢の浮橋」まで源氏物語の最後を収録。薫の恋は相手を見ているというより忘れ難い人の代わりを求めているように思える。浮舟が自分を見ていないことに失望して裏切ったなら一つの説得力があるが、そもそも二人は自分本意に生きているようだった。2021/11/23
記憶喪失した男
6
ほとんど何が起こってるのかわからない。これは連載小説だったのではないかと思った。2016/04/28
kyouikufs
6
上巻や中巻の豪華さは宇治にはありません。現代でいえば、「わび・さび」の世界。特に下巻の構成の緻密さ、心理描写の精密さ豊かさはいかに紫式部や与謝野晶子が後半を意識していたかがわかります。二人の恋に悩み、自殺を図った浮舟、生き残った浮舟にまた恋の炎を燃やしてしまう薫。この両者の物語で終わることは、何かを意図していたのでしょうが、多くの研究書があっても、まだわかることではなさそうです。もしかしたら続きが出てくる可能性もありますし。まさに「もののあはれ」の体現です。2013/11/23
なな
3
☆☆☆☆☆与謝野晶子訳を読んだのは初めてでした。円地文子訳と比べるとさっぱりしていて読みやすいです。(奥ゆかしさ儚さなどはきちんとあります。)円地訳も読みやすいですが、あちらは情緒たっぷりという印象でした。この時代は名前で人を呼ばないため、役職などが変わると呼び方が変わります。そういう面では円地訳についている相関図は便利でした。原文は1000年も前に書かれたものですが、源氏物語を読むと人の本質というのは1000年経っても、そう変わっていないのだと感じます。多方面から物事をみながら書かれているのも好きです2016/02/11