内容説明
薬丸岳の新境地。
壮大なスケールで贈るエンタメ巨編!
〈螺旋プロジェクト〉明治編。
時は明治。幼なじみであった新太郎、灯、鈴の三人はそれぞれの道を歩んでいた。新太郎は呉鎮守府の軍人に、灯は瀬戸内海を根城にする海賊に、そして鈴は灯を探し、謎の孤島「鬼仙島」に辿り着く。交わることのない運命に翻弄され、三人はやがてこの国を揺るがす争いに巻き込まれていく。
友情、恋慕、嫉妬、裏切り――戦争が生む狂気の渦の中で、三人の運命が交錯する。
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※〈螺旋プロジェクト〉とは――
「共通ルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8作家朝井リョウ、伊坂幸太郎、大森兄弟、薬丸岳、吉田篤弘、天野純希、乾ルカ、澤田瞳子による前代未聞の競作企画
〈螺旋〉作品一覧
朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』(本作)
天野純希『もののふの国』
伊坂幸太郎『シーソーモンスター』
乾ルカ『コイコワレ』
大森兄弟『ウナノハテノガタ』
澤田瞳子『月人壮士』
薬丸岳『蒼色の大地』
吉田篤弘『天使も怪物も眠る夜』
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
イアン
94
★★★★★☆☆☆☆☆螺旋プロジェクト4冊目となる薬丸岳の長編。蒼き双眸ゆえに差別を受ける灯と、そんな灯を気に掛ける新太郎・鈴の兄妹。同じ貧村で育ったかつての幼馴染は、時を経て国を二分する戦いに巻き込まれていく――。鈴は想いを寄せる灯と再会を果たすことができるのか。敵兵を殺傷することに対する葛藤は描かれているものの〝海族と山族の争い〟というコンセプトに押されてか、普段の薬丸作品とは時代背景もテーマも一線を画す本作。企画モノではあっても「贖罪」や「罪と罰」といった薬丸岳のフィールドで勝負してもよかったと思う。2025/12/28
まあか
48
初読み作家さん。螺旋プロジェクトに沿って、ストーリーがよく練られている印象。戦い➕恋愛。少し読むのに苦戦したのだが、読み終えた。これで、螺旋プロジェクト4冊読み終わりました。完読に向けて、まだまだ楽しみます!2023/02/26
piro
41
舞台は明治時代、海賊と海軍の争いを軸に物語が進んでいきます。背景にあるのは海族と山族の対立という螺旋プロジェクト共通のテーマ。かつて同じ村に住んでいた新太郎・鈴兄妹と灯(あかし)。其々の事情から村を離れて暮らす彼らを強引に結びつける運命の力、そして迷いながらもその運命に懸命に抗う彼らの姿に惹きつけられます。次第に明らかになっていく謎、裏切り、そして闘い。飽きさせることがないストーリーは、争うことの無益さ、愚かさを強く訴えかけるものでした。結末に若干の不満は残るものの、楽しめる作品でした。2023/07/21
みねね
37
大河であった……。普段あんまり読まないジャンルが螺旋伝いに手元まで届いた。こういう大河エンタメな読書も面白かった。ニアミスを繰り返して土壇場で合流、これまでの伏線も回収して極限状況を切り抜ける! といった様はマンガやドラマというよりテレビゲームをしている感覚に近かったな。混じり合わない海と山の諍いを、人と人のぶつかりに沿って論じるメインテーマがうまく溶け込んでいたように思う。ただ、読了順でいくと海と山が一番接近した場面でもあるから、もっとそこを掘り下げてほしかったような。2024/11/15
なつくさ
32
【螺旋プロジェクト4冊目(明治)】初読みの作家さん。海賊VS海軍。海対山が顕著に表れており、対立の末の結末に涙しました。どんなに祈っても、どんなに願っても、争いはなくならない。悲しいけれど、それは目を逸らしてることとあまりかわらない。自身の胸の重りを消したいだけの自己満足。鈴の言動にそんなことを思いました。鈴のように祈り願い行動する、それが争いの種をなくす一歩に繋がるのだ。たとえ、かたつむりのようにゆっくりとした足どりでも寄り添っていけたらいい。他の作品も読んでみたくなりました。2022/12/25




