内容説明
「帝国の大学」として数多くの指導者を養成し、日本近代史の原動力となった東京帝国大学は、学問と政治・社会との関わりや、権力と思想の自由の問題にどう対処してきたのだろうか。ムーアヘッド『倫理学』中の「弑逆」の解釈に端を発した「哲学館」事件や、桂太郎内閣の対露外交を批判して国論を二分することになった七博士の“日露開戦論”などを扱い、明治体制の確立を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てつ
38
なかなか面白い趣きのある小説。下巻へ。2019/02/10
さえきかずひこ
8
明治の後半、1902年に起こった哲学館事件をその学生である工藤ー田舎から上京した無力な秀才ーの視点を中心に、彼がかかわりをもつ元講釈師で社会主義者の奥宮健之、軍部に影響力を行使する呪い師の飯野吉三郎(出口王仁三郎がモデルか)ら怪しげで魅力的な人物を配して描き出すが、本書後半では日露開戦を後押しした東京帝大七博士の意見書にテーマが移る。この国が帝国であった時代の権威主義的な世間のあり方に対して筆者はつねに闊達にペンを進め、読者は令和の現代日本と帝国日本の連続性と断絶について考えをめぐらせることになるだろう。2021/01/13
あかつや
4
日露戦争開戦間近、学生の答案が問題視された「哲学館事件」や七博士が桂内閣へ意見書を提出した「日露開戦論」など、史実に基づいた事件を扱った小説。松本清張のこういうフィクションとノンフィクションの間にあるような本、好きだなあ。よく知らなかった事情を知ってなんだか賢くなった気がするよ。まああくまでも小説として出されている以上は眉に唾つけて読まないといけないんだろうけど。歴史のここら辺の出来事って学校ではそんなに詳しくやらないから、単語だけ知ってても中身をよく理解してないんだよなあ。明治も色々あって大変ですね。2022/03/11
Shinsuke Mutsukura
0
小説ということで軽い気持ちで読んだのですが、これノンフィクションじゃねーの?って感じです。 まだ上巻なので何とも言えませんが、松本清張らしくドロドロ感が出ていて、何とも言えないものを感じます。2016/08/18
ヤスヲ
0
帝大ができるまでの話と思って読み始めたら、帝大を絡めて見た明治という時代。それもちょうど「坂の上の雲」と重なる時期の話。2010/12/07
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