内容説明
某市立高校の芸術棟にはフルートを吹く幽霊が出るらしい――。吹奏楽部は来る送別演奏会のための練習を行わなくてはならないのだが、幽霊の噂に怯えた部員が練習に来なくなってしまった。かくなる上は幽霊など出ないことを立証するため、部長は部員の秋野麻衣とともに夜の芸術棟を見張ることを決意。しかし自分たちだけでは信憑性に欠ける、正しいことを証明するには第三者の立ち合いが必要だ。……かくして第三者として白羽の矢を立てられた葉山君は夜の芸術棟へと足を運ぶが、予想に反して幽霊は本当に現れた! にわか高校生探偵団が解明した幽霊騒ぎの真相とは? 第16回鮎川哲也賞に佳作入選したコミカルなミステリ。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
616
学園物としての楽しさはある。ミステリ面は特に目新しさはなく、謎解きも普通で、そもそも事件自体がかなり地味。小学校の図書館にあるようなジュブナイルミステリレベル。トータルでは割と楽しめたけれども、それは青春小説面によるところが大きい。伊神さんも悪くはないが、キャラがテンプレすぎて一周して普通に感じてしまった。物語の導入とラストは良い感じで好き。ちょっと独特のくどさのある文章で、それは語り手の個性の演出と考えればアリではある。しかし、作者のあとがきが同じ感じなのは、作品には関係ないが少ししんどい。2018/01/26
夢追人009
208
似鳥鶏さんの何ともとぼけた味わいのユーモアで読ませる学園ミステリーのデビュー作。本書のメインの謎は2つで、フルートを吹く女高生の幽霊は横溝正史の「悪魔が来りて笛を吹く」を思わせますし、壁男は大分古いですが怪奇大作戦の「壁ぬけ男」を思い出しましたね。どちらも機械トリックなのが致し方ないとは言え少し残念でした。やはり一番気になったのは有栖川有栖さんの名探偵・江神とアリスの関係性と本書の伊神先輩と葉山との類似で「神」の字の共通は偶然ではなく著者が意識されての事でしょうね。最後の意外なオチもショッキングでしたね。2019/02/15
麦ちゃんの下僕
186
オーディオブックでの“読了”。「市立高校シリーズ」の第1作で、なぜか真冬の高校で勃発した“幽霊騒ぎ”の顛末を描く5日間の物語。この作品が似鳥鶏さんのデビュー作だそうですが…軽妙な文章とキャラ立ちした人物造形で高校生らしいライトな雰囲気を保ちながら、最後に“ほろ苦さ”と“寒気”を感じさせて唸らせるあたり、本当に巧いなぁ~って思いました。タイトルも良いですよね…なぜ冬に幽霊が出たのか?という“理由”も納得です。でも1番印象に残ったのは、探偵役である伊神の“非常識さ”を物語る喫茶店でのシーンだったり(笑)2021/10/30
takaC
171
長々と積んでた本を満を辞して読んだという感じ。幾冬積んで過ごしたことやら。で、思った以上に面白かったです。とっとと読みゃよかった。2017/12/19
まりも
171
この表紙の女の子は柳瀬さんでいいんだろうか。登場人物が多いせいで誰が誰だかややこしい感じもしましたがデビュー作でこれなら十分及第点でしょう。肝心のトリックは簡単なモノでしたが最後のオチには驚いた。ミステリーを楽しむというよりはキャラの掛け合いを楽しむタイプの作品になるのかな。今のところ伊神さん以外のキャラが薄目なので今後に期待といった所か。2014/07/25