内容説明
２０世紀初頭、多くのイタリア人が故国を捨ててアメリカへ渡った時代。１６歳のジュリアもまた、愛情深き祖母のもとを離れ、きらめくナポリ湾に別れを告げた。多感な少女が漕ぎだした遙かなる人生の航路で待っていたのは、想像以上に過酷な生活と、誇り高き一人の男性との出会いだった。激動する時代のうねりの中、異国の地で新たな生活を築こうと葛藤するジュリアと、それを支え続ける男性パオロ――ふたりの絆が刻んだ運命の軌跡は、ある日思いもよらない悲劇と交錯する。イタリア系アメリカ人の作者が全身全霊を捧げた、時を経ても色褪せることのない必読の書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りり
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★★★★☆自分の意志よりも一族の面目や庇護する人間が絶対的存在で、何においても立てなければならない。姉たちや従兄弟とも分かち合えず移民先で友人もいない。ジュリアが心を許せる相手が少なく、パオロと幸せな時間は呆気なく過ぎてしまう。思い出を秘め強かに生きる祖母に迷惑しつつも寄り添ったカーラ。『心の〜』と筋は同じだけれど対照的で、陽気なイタリアーノはない。悲しくて冷たい物語だった。1900-2000/2007年作品。EL2/32015/05/18
りあ
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随分前に読みました。作者の祖母の話らしく、せつなくなりました。つらい場面もありますが、心にしみる話です。主人公が成長していく過程もよく書けていると思いました。昔の人はこんな苦難が本当にあったのだとしみじみ感じました。でも、今も昔も人を愛するという気持ちがあるのですよね。ハーレクイン文庫のイメージで読むとかなり違うかんじがすると思います。
