内容説明
十三世紀フランス南部、オクシタニアと呼ばれた豊饒の大地に栄えた異端カタリ派。ローマ教皇はその撲滅のために「アルビジョワ十字軍」を派遣する。戦乱が迫るオクシタニアの都トゥールーズの民兵隊長エドモンは最愛の妻ジラルダがカタリ派に入信したことを知り、不安にかられるのだが……。正統か異端か。神をめぐる壮大な戦いに巻き込まれていく男と女の運命を描く西洋歴史小説の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
74
「全ては言い訳にすぎなかった。地味な田舎領主として、シモンが堅実な人生を歩んできたのは他でもない、それが楽な生き方だったからだ。はじめの一歩を踏み出すだけの、小さな勇気さえ求められなかったからなのだ(p55)」。これはある意味、領主としての時代は“平和”だったからとも思いました。しかし、“平和”というものの性質を考えると、シモンの平和は後ろ向きの平和(万民の平和ではなくシモン自身の平和、長期に継続されない平和)ではなかったのかと思いました。2024/02/12
ehirano1
73
「自分に自信を持てないという意味で、シモンは誰よりも神を必要としている男だった(p56)」。いろいろな意味で“神”は必要とされるのですね。自信を持てと言われたってそう易々と持てるモノではありませんから。しかし、持てないのを神(よその神もも含む)のせいにしてはいけませんね。2021/05/15
ehirano1
71
「人間には自ずと分というものがある。それを見誤れば、とたんに奈落の底まで落ちる(p47)」。これは響きますね。調子いい時こそこの言葉を思い出せるようにしておきたいものです。2021/10/17
ehirano1
61
「・・・ああ、確信を持てばこそ、人間は迷わないのだ」。これを認識するだけでも大きな進歩だと思います。確信を持てるまでには並々ならぬ努力が必要ですが・・・。2024/06/25
ehirano1
57
「・・・シモンは聖書のラテン語が読めない。また平信徒は勝手に読んではならないと、教会に禁じられてもいた。聖書は聖職者だけが目を落とせる特別な書物なのだ(p42)」。これの良い(?)面はイコンが発達し芸術の発展に貢献したこと。悪い面は、神意は常に解釈を必要とするものであるにもかかわらず、(バイアス付きの)聖職者を通じてしか解釈を得ることができないこと、といったところでしょうか。2019/07/14
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