- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
どんな戦争も後世へのメッセージを残している。長州戦争は徳川幕府の命取りとなった戦争である。勝利した長州藩は、後に『防長回天史』を編纂し、この戦争を明治維新への大きな一歩と位置づけた。しかし、幕府側はこの敗戦を総括するに至らず、敗戦の責任者すら明確ではない。幕府はなぜ戦争に踏み切り、どう戦って負けたのか。開戦前夜から敗戦処理までを克明に描き、長州戦争が現代に残したメッセージを読む。
目次
プロローグ 兵は凶器なり(長州戦争とは何か 長州戦争の開戦事情 ほか)
第1章 長州が朝敵になるまで(航海遠略策と公武周旋 尊攘激派の擡頭 ほか)
第2章 第一次征長―幕府の威令なお衰えず(長州征討令下る 四国艦隊の下関襲来 ほか)
第3章 江戸と山口―二つの主戦派(攘夷見直しのチャンス 江戸幕閣と一会桑政権 ほか)
第4章 第二次征長―四方面の戦闘(歴史と個人感情 大島口の戦闘 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
55
巧みに原典史料を引用しながら、幕末の一焦点について軽妙な語り口で読ませる。とても面白い。前提となる幕末史も過不足なく分かりやすくまとめてあり、一気に読み終えた。慶喜についての評価はおそらくその結論の豹変ぶりからだと思うが、もう少し内面に踏み込んでいただけたら少し印象が変わったかも。また、四国艦隊下関砲撃事件の際の欧米側陸戦部隊の戦い方が、長州歩兵に大きな影響を与えたという史実が見当たらなかったのはちょっと残念。あの当時の日本としては革新的な歩兵隊の出現が、完膚なきまでの敗北からということは重要だと思うが。2021/05/03
とろとろ
25
「花燃ゆ」が最近面白くなってきた。ところが長州藩の政権がコロコロと変わるので、四境戦争(長州征伐)に至る最中に肝心の長州がそんなに政権が交代する時間と余裕があったのかしらと思い、そのあたりが詳しく解説されているらしき本書を読んでみる。なるほど通り一遍には行かない政治の妙と、ついでに一橋慶喜の性格がとてもリアルでたいへん参考になった。これで「花燃ゆ」が納得して楽しめる(^o^)。2015/09/07
印度 洋一郎
7
蛤御門の変と戊辰戦争の間に埋没しがちな、いわゆる長州征伐(長州側の呼称は四境戦争)を、その原因から背景に渡って幅広く考察、分析、検証した名著。第一次征伐に武力の示威だけで勝利した幕府が、幕権復活を目論んで第二次征伐に乗り出したが、この間にクーデターを経て藩論を統一し、軍制改革を断行して、近代軍に変わっていた長州軍によって、戦国以来の旧態依然とした軍備の幕軍は圧倒されてしまった。日本初の近代戦でもある。幕府側の内部分裂、長州側へ寝返る薩摩、そして背後に外国勢もあり、冷戦期の代理紛争を見るような構図だ。2014/01/08
金監禾重
6
長州戦争を軸に当時の幕府の有り様を描く作だが、ひたすらに幕府の内部不統一、幕閣らの弱腰・不徹底・姑息が無様でもどかしい。鳥羽伏見からの慶喜の不戦・服従は評価されることもあるが、やはり無責任な気分屋の自己保身に過ぎないことが明らかになる。慶喜の統治者としての資質は長州戦争中の将軍任官直後にあますところなく発揮されている。2018/09/27
Emkay
6
1864年禁門の変によって長州が朝敵となるに至るまでの複雑な流れを解説した後、江戸幕府が長州攻撃を仕掛けた1864年(第一次)と1866年(第二次)の長州戦争を多角的かつ簡潔に紹介する。第一次と第二次の間に長州藩内クーデターや薩長同盟が起こり、劇的に倒幕に流れが傾いたこと。高杉晋作率いる奇兵隊の戦術の優位性。攘夷から倒幕へと急速に傾いた下関戦争と薩英戦争の重要性。そして将軍を含めた幕府の指導体制の揺るぎ。すべて手に取るように分かる。文献引用の現代語訳と、元号の西暦表示があればもっと読みやすかったはず。2015/08/24




