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内容説明
一二〇六年、モンゴル高原の諸部族はチンギス・カンのもとに統一された。強力な騎馬軍団と豊富な鉄製武器を誇る「大モンゴル国」は、西夏や金、ホラズムなどの強国を攻略し、ユーラシアの東西にまたがる世界帝国へと成長した。だが、偉大な足跡を残したチンギス・カンの生涯は謎に満ちている。近年の発掘調査で得られた成果から何が見えてきたのか。モンゴルの大地を駆けめぐる考古学者が、「世界征服者」の実像に迫る。
目次
第1章 蒼き狼の時代(西暦一二〇六年 モンゴルの揺りかご ほか)
第2章 大モンゴル国の勃興(トオリルを滅ぼす 高原の統一 ほか)
第3章 草原に生きる(世界征服者の素顔 水と草を追って ほか)
第4章 世界征服者の死(不老長寿を求めて 最後の遠征 ほか)
第5章 よみがえるチンギス(チンギス崇拝 チンギス霊廟の成立 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鐵太郎
25
2006年に刊行された、考古学者である著者が研究している内容を元にチンギス・カンの生涯を構築したもの。チンギスという名の意味ははっきりしていないこと、欧米ではペルシャ語由来のジンギスと呼ぶ人が多いこと、チンギスは生涯にわたって「ハーン(あるいはカァン、唯一無二の君主)」とは名乗らず「カン(王や部族長のこと)」であったこと、といった知られていないが基本的な事から始まり、さまざまな事物について文献や自分の研究成果を駆使し、ニュートラルな姿勢で語り上げています。研究書の集大成のようなものなのですが、実に面白い。2022/09/21
雲をみるひと
12
チンギスカンを中心にモンゴルの歴史、及びモンゴルに関する最近の考古学的成果が纏められた本。記載されている地名、人名の多くは日本人に馴染み深いと言えないためか、すっと頭に入る内容とは言えないが、チンギスカンを中心に周辺の時代及びエリアの網羅性がいため、読むに従いチンギスカン、及びモンゴルがよくわかってくる良本。2019/04/18
jiangkou
10
考古学者が書いたチンギス及びモンゴル国勃興期。考古調査を基に書いてあるので行政機構や政治の記載は少なめ。それでもチンギス以降の家督がどう引き継がれたかくらいはわかる。清朝になってもチンギスを祭るのはモンゴル高原に住む民族にとって正当性を表す重要なことだったなど近代史に繋がるきっかけはもてた。面白みはあまりない。2018/12/15
ヨクト
8
考古学から見たチンギス・カンの実像について。残虐なる姿が本当の姿か、世界征服を成し遂げた英雄としての姿が本当か。かつてないほどの領域を永きに渡り支配し、成長させた彼の実像とは。小説を読んでいるからか、聡明果敢で先見の明があり、カリスマ性を備えた好漢という印象があるのだが、たしかに近隣諸国への侵略や戦略はやはり当時の最先端だったのではないかと思う。単純に当時のモンゴル草原の暮らしと部族間闘争を知ることができることも新鮮だった。2018/11/04
in medio tutissimus ibis.
7
チンギス・カンの時代にはモンゴル帝国はまださほど大きくなかったとか流通を重視していたというのは知っていたけれど、テムジンの名の通りに鉄を重視した征服を行っていて軍需工場もいっぱい建てていたのは知らなんだ。ぼんやりと強かったとは思っていたが、実は強くなる計画をしっかり立てていたというのは実像としての説得力があった。2017/10/27
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