内容説明
美術界を揺るがす問題作。パリ⇔東京、空前の謎。盗聴器を自宅に仕掛けられた元恋人・由梨子の身を案じ、塔馬双太郎はパリへ飛んだ。ゴッホ作品リストの周辺で次々と人が死んでいくなか、日本人画商からオルセーにゴッホの真贋鑑定の依頼が入る。塔馬は東京に戻り、数々の謎の真相に迫る。壮大な国際謀略サスペンスかつ、美術史を揺るがす傑作ミステリー。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
78
【「アート週間」参加】戦時中ナチの美術部では何が行われていたのか。ネオナチとモサドの国際的な謀略合戦と加納夫人の自殺には何らかのつながりがあるのか。モサドがこんなに不甲斐ないとは思えないし、最後はやっぱりいつもの「あれ」で片が付いてしまうのだが、ゴッホに関する大胆な仮説と、戦時中から現代にいたるまでのヨーロッパと日本をまたにかけた壮大なストーリー。かなりリアルで、無理がなく、楽しくフィクションの世界に浸ることができた。2019/09/25
komaneko
11
やっと下巻をブクオフで買えた・・・(定価で買う価値ないし)。 で、やっぱこの作者、ゴッホの謎をあれやこれや上巻で風呂敷広げたけど、 下巻ラストで、自分で広げた謎を回収せず、「え、ソコ?」的に終了。 「写楽…」と変わらないな。っつかこれがこの作者のスタイルなんだな。 となると、一つ言いたい。 アーティストの謎を、ミステリーのネタにするな、と。 解き明かさず、ただの「客寄せ」にしてるとしか思えない。 総体的にも、この内容、このキャラ表現で満足できるなど、到底無い。2016/05/18
ネムル
9
ゴッホの腹部を撃ち抜く自殺や生前全く売れなかったことについての謎を、主に弟のテオとの書簡から読み解く謎解きも魅力的だが、ナチスによる芸術統制を絡めて国際謀略小説のように仕上げるあたりが実に上手い。そのせいで長くて辛いところが多々あったのだが、浮世絵作品よりも楽しく読んだのも事実。2013/12/30
ryohey_novels
7
後半に入り急展開。主人公がお馴染みの塔馬になり、真相に近づいていく。日本、パリ、オランダを巻き込んだ本格アートミステリ。少し長い(複雑すぎ)な印象もあったが、最後まで十分に楽しめたし、謎解きにも納得。過去の浮世絵シリーズでもそうだったが、アートミステリが流行っている近年に発売されていたらもっと話題になっていただろうなと思う。その一方で私だけが良作を知っているというのもファンとしては快感だが。2023/05/13
しーまま
6
下巻になっていきなり登場した搭馬さん。浮世絵三部作にも登場しているのですね。読んでみようかな〜。2013/01/20