内容説明
一葉は、いつも庶民のなかにいた。そして、頭のなかでは、社会のありかたの不当さをいつも考えていた。(本文より)樋口一葉の研究に没頭して伝記・評論を書き続け、全集の実務にも携わった作家・和田芳恵が、一葉16歳から死に到る25歳までの日記を、鋭い洞察力で丹念に分析。一葉文学の本質を描出し評伝文学の白眉といわれた。著者畢生の仕事である一葉研究の集大成。日本芸術院賞受賞。
目次
序説
十六歳から十九歳まで
二十歳
二十一歳
二十二歳
二十三歳
二十四歳
二十五歳
人と時代
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
39
一葉の日記の研究書だが、評伝といっても良いし、一葉の生涯を書いた小説とも読める。平易で虚飾のない文章に、著者のことを調べてみた。経済的に苦労されていて、一葉の研究は自身が作家になる踏み台と割り切って、その後に実際に直木賞を取っている。才能のある人物が貧乏で苦労しているところや、野心が見え隠れするところが一葉と重なる。一葉の日記は読んだことがないが、文語では実際読んでも感情移入するまではいかないのではないか。一葉は読まれることを前提に書いていたようで、著者は一葉の日記を平安期の女流日記文学の伝統と、近代の私2023/08/28
びすけっと
9
2005年4月刊。底本 1986年3月刊。一葉が残した日記がある16歳~25歳までを数え年ごとに綿密な調査研究のもとに一葉の生き様を著した一冊。一葉が女性作家として生き抜くために、また書き続け発表するためにさまざまな策を練り、言葉は悪いが男たちを利用していたことが分かり、凄さを感じ取りました。とはいえ桃水へ心を寄せただろうし、緑雨へ仲間以上の許しもあったろう。それにしても、ここまで著者を一葉研究に没頭させたものはなんだろうか。このあと一葉の作品に触れ、それを感じたいと思います。2016/02/05
moyin
5
さすがに和田先生。これを日記原本と合わせて読むと、今まで気付かなかったところが目に飛び込んだ。2020/08/02
yoyogi kazuo
1
一葉はこれまで読んだことも無かったしこれをきっかけに関心が持てればとも思ったがそんなに面白いと思えなかった。桃水との恋にどうしても興味が行ってしまうが、この経験と諦念を経てわずか25歳で人生を達観するような視点を持ちえたのは凄いことだと思う。2021/06/28
コホン
1
生きるために男を手玉に取った(といういい方は悪意がありすぎるけど)部分があったという捉え方だけど、そうかなぁ。貧しくて人から借金をしてもその一部を自分より辛い境遇の人に貸してあげるという優しさが痛々しい。生き急いだからこそあれだけの作品がかけたのかもしれないけど、もう少し人生を楽しめたらよかったのに。2015/10/24
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