内容説明
「私」には様々な国籍のユニークな外国人の友だちがいる。日本に「自分探し」に来たフランス人。大連からやってきた回転寿司好きの中国人。故国を追われたイラク人etc…。彼らと彷徨う著者の眼に映る東京は、とてつもなく面白く、途方もなく寂しく、限りなく新鮮なガイコクだ。愉快でカルチャー・ショックに満ち、少しせつない8つの友情物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
217
一気読み❗️外国語の習得方法がすごいですね、この作家さん。こうやってマイナーな外国語を次々とマスターしてしまわれたとか。こういう生き方、かなりうらやましい。まねはできないけど。2012/04/11
ヴェネツィア
194
当初の着想では、外国人の目から見れば東京はトーキョーとして、新しい相貌を見せるのではないかという狙いだったようだ。残念ながら、その目論見は実を結んだとは言い難いが、その代わりにトーキョーを舞台にした、実にユニークな交友録が生まれた。全編、電車の中などでは読めないくらいに抱腹絶倒の連続だ。しかし、それだけではない。その裏側には著者の実に暖かい「愛」と読んでもいいような「情」が垣間見えるのだ。そして、そのことが本書を単に面白いだけのものに留まらせてはいない。行間からは時として哀愁とペーソスさえ漂うのだ。2013/04/26
やすらぎ
182
東京にいるのに異国を漂流しているという本題が秀逸。コンゴへ怪獣探しに行くため、トーキョーでフランス語とリンガラ語を勉強する、1980年代後半の話から始まる。世界には文字を持たない言語が多いという。本来は外国への旅を主題とするところ、それは別冊に任せていることの面白さ。外国人と一緒にいると東京がトーキョーになる不思議。人の行かないところへ行く。人のやらないことをやる。それが辺境ライターのテーマ。誰にも真似できない人脈を形成し、唯一無二の人生を送っている。リアリティのある著者の本はまた読みたくなる魅力がある。2025/01/12
やせあずき
112
冒険に人生を捧げておられる高野さんの本を読むと、あまりの破天荒ぶりに、自分の人生経験の乏しさと視野の狭さと人生の道のりの平坦さを思い知らされます。出てくる外国人の言動が、理解に苦しむけどとにかく面白くて、その律儀さが愛おしくなります。そして、「外国人と一緒にいると、目に映る風景も外国人のものになる。東京がトーキョーになる。」と、著者が書いておられるとおり、外国人との関わりがすごく新鮮で楽しいものに感じられます。高野さんのノンフィクション、やはり秀逸ですね。もっと追いかけたいです。2016/05/07
ホッケうるふ
95
著者の顔写真を初めて見ながら読めたのがよかった。この人のコトバや思考はここから発せられるのか。そう思わせるというか、そこまで知りたくなるほどの独特なフィルターで見せてくれるのがこの人の世界。さながら東京外国人見本市のような様相で各国人との交流が語られるが彼のフィルターなしでは全く違ったものに見えるだろう。というか全く見えてこないだろう。ほかの作家の取材なら外国人の発した言葉とその瞬間のみが唐突に語られるだけだろうが彼はその会話の狭間にある相手の心情や置かれた状況を常に斟酌している。だから流れが途切れない。2014/05/03