内容説明
“最後のフィクサー”浅田満のすべてを暴く3000坪の大豪邸に住み、一日に2億円稼ぐ男。山口組五代目から星野仙一まで、政・官・財・暴に隠然たる影響力を持つハンナングループ総帥のタブーに迫る!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
197
第25回(2003年)講談社ノンフィクション賞。 食肉の帝王と呼ばれる 浅田満を追った 作品である。大阪羽曳野市を出発点に 暴力と政治家を使って、のし上がっていく 浅田の剛腕が 明らかになる。 それにしても 浅田の人脈には 驚く …部落解放同盟、山口組、そして 鈴木宗男などの政治家たち… 現代の闇のフィクサーの実像に 改めて 驚く、そんな作品だった。2018/07/18
ニッポニア
37
これはまた力ある本です。同和、ヤクザ、政治家、タブーなく語っているのが、いいですね。上り詰めてしまえば、ある程度なんでもありになってしまう。そこに至るまでの、人脈なり人柄なり能力なりがあった。ということでしょう。事実として受け入れて、搾取される側から逃れないといけません。2022/09/17
Kentaro
35
部落差別の早急な解決を国の予算と責任で図る同和対策事業特別措置法は一九六九年に始まり、後継法を経て二〇〇一年度をもってすべて終了した。大阪府など一部地方自治体には「逆差別」と批判されるまでの被差別地域や組織に対する補助金のバラ撒きがなお続いているが、少なくとも国のレベルでは同和対策に名を借りた所得の移転、つまりは本書に記したような同和を名乗る利権的な組織や事業者に対する不当で過大な補助や支出はできないことになった。 本書では取材に基づいた実態、政治家中川一郎や金丸信、鈴木宗男等との関係も含めて多数紹介。2020/05/03
たぬきごんべい
29
食肉のドン浅田満氏にからむ同和、ヤクザ、BSEでの詐欺事件など溝口さんにしか書けない渾身のドキュメント。この本がきっかけで浅田氏は逮捕された。逆に言うと4ヶ月ほどの取材でここまで分かるのに警察は何やってたんだ。とも思う。 読み物としてはあまり面白くはないが、取材力、内容は素晴らしい。★4.0 2016/12/29
きょちょ
28
講談社ノンフィクション賞受賞作。羽曳野市の浅田御殿は、大阪ではつとに有名だ。帝王浅田満は、もともとは同和利権がらみからだったが、政界・財界・暴力団と人脈を作り巨万の富を得る。BSE問題で牛肉偽装がばれ起訴されるが、一生贅沢に暮らせる財があるのに何故牛肉偽装に手を出したか?私ならとっくの昔に引退し遊んで暮らすが、それは小市民的考え方で、だから私は金持ちになれない。BSE問題は農水省の安易な対策で、食肉業者にとってこんな楽な金儲けはなかった。しかし彼は本当に「やり手の実業家」だと感心する面も多々ある。 ★★★2017/05/11