内容説明
しきたりや伝承に縛られ、苦悩死した人間の魂は今もこの世をさまよい歩くのか? 名人の手になる旧家の鬼瓦は闇夜に吼えるという……。秀作「雪崩連太郎怨霊行」をはじめとして、怪奇に彩られた難事件に挑むオカルト・ハンター雪崩連太郎の活躍を描く連作怪奇ロマンをすべて収録。妖しい美しさの中にペーソスが滲む傑作集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
砂糖と塩
12
地方の変わった風習や、曰くつきの骨董品を専門とするトラベルライター、雪崩連太郎が主役の短編集。文庫二冊+短編二つを合わせた構成となっており、これ一冊の中でも、だんだん作品の性格が変わっていきますな。前半は、生きながら幽霊じみた情念や妄執を持ってしまった人の話が多め。後半は非現実的な描写がより多め。とはいえ、どこかミステリーっぽい雰囲気を含み、ハードボイルドな雪崩先生の性格も一貫してるため、世界観にブレは感じません。あ、エロスな描写は全体通して多め。個人的にはどの話も外れ無し。むしろ大当たりな一冊でした。2015/09/13
KAZOO
12
もう何回めかの再読です。ちくま文庫版は初めてですが、このシリーズのすべて15編が収められているのが便利です。いつ読んでもこの作者に脱帽してしまいます。うまいといつも感じています。連城さんもうまいと思うのですが違った面白さがあると思います。2014/03/30
ペペロニ
6
とても面白かった。短編集だけど一つ一つが読み応えあり恐怖あり、でたまらない。2019/07/14
くさてる
6
雪崩連太郎なる怪奇現象を専門にしたルポライターを主人公にした連作集。様々な土地やひとにまつわる因縁や怪奇現象に挑みながらも、美女に誘われると滅多に拒まない雪崩氏のちょっと古めかしいハードボイルドさが、かえって新鮮かも。それぞれのお話も、ホラーというよりはオカルト、という表現が似合う渋さと荒唐無稽さ(「六本足の午」の落ちにはひっくり返った)で、こういう雰囲気の好きなひとにはたまらないものじゃないでしょうか。2004/08/02
takeshi3017
5
論理的に解決できるようにみえて謎が残りぞっとする、というお話が多い。必ず美女といい仲になるサービスシーンありだが、それもちゃんと怖い話のうち。以下に詳しい感想があります。http://takeshi3017.chu.jp/file2/neta7204.html