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内容説明
ハイデガー自家用本に書き込まれた欄外注記と諸版の異同を吟味し、近年の研究成果を盛り込んだ日本語訳と懇切な訳注。巻末に新しい年譜と詳細な索引を付した決定版。全三巻完結。
目次
第3章 現存在の本来的な全体存在しうることと、気遣いの存在的な意味としての時間性(現存在にふさわしい本来的な全体存在の限界づけより、時間性から邪魔者を現象的に取り払うことへといたる方法的な歩みの下図 先駆的決意性としての、現存在の実存的に本来的な全体存在しうること ほか)
第4章 時間性と日常性(現存在の実存論的機構の根本事態と、この機構の時間的な学的解釈の下図 開示性一般の時間性 ほか)
第5章 時間性と歴史性(歴史の問題の実存論的・存在論的開陳 歴史の通俗的了解内容と現存在の生起 ほか)
第6章 時間性と、通俗的な時間概念の根源としての時間内部性(現存在の前述の時間的分析の不完全性 現存在の時間性と、時間についての配慮的な気遣い ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
39
大きく2篇ある本論各6章(全12章)のうちの後半の第2編の残り4章がこの第3巻だ。4章の全てにタイトルに「時間性」というキーワードが入っている。道具的存在者や事物的存在者の時間は現在化が中心だが、現存在の時間的解釈からは既在でもなく到来である。非自己的な到来は予期であり、予期は現在化を招来し既在を置き去りにする。他方で自己固有な現在を瞬間として、到来は先駆であり、既在を忘れてしまうことなく取り戻す。3つの時間の相は相互に照らし合いながら働く。被投的事実は忘却不可能な事実として顕在化する。2023/09/06
北条ひかり
4
5時間8分。カセットテープ。京都ライトハウス情報ステーションと音訳者さんに感謝。へろへろになりながらも、どうにか最後まで。ちょっと飽和状態のため、このまま寝ます。要復習ですね(泣)。2016/10/12
鹿野苑
1
とうとう読み切った。『存在と時間』は元々上下巻の予定で、今世に出ているのはいわゆる上巻部分のみで、ハイデガーは長きにわたって修正を重ねていったそうだ。 やっと!やっと時間の部分に来たのだけど、実は自分は時間の部分が若干消化不良気味である。わからん・・・。これからいつかわからないけど死ぬということを例にとっての時間についての話はすごかかった。 2022/11/26
Tatsuhiko
1
1巻から足掛け3カ月ほどかけ、ようやく読了。これほど難解な書物をひとまず読み通せた自分を称賛したい笑 今巻では、自分の既在性を引き受けつつ、将来を配視して行われる決定に運命という性質を見出している点が最も印象に残った。その後個人を超えて民族に対する運命にも触れているところではギョッとしたが、ここが後にナチスに利用された部分なのだろう。全体としては現象論という視点でユニークな存在の捉え方を提示したハイデガーには圧倒されたし、自分の人生を理解する上で気づかいという見方を授けてくれた。大変だが実りある読書だった2018/10/23
肉欲棒太郎
1
死への先駆的決意性により、時間性は「過去、現在、未来」ではなく「既在、現成化、到来」として経験される。この巻読んでる間、終始「いつやるか?今でしょ!」という某塾講師のあの台詞が脳裏にチラついていました。2017/07/22