講談社文庫<br> 宙返り(下)

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講談社文庫
宙返り(下)

  • 著者名:大江健三郎【著】
  • 価格 ¥859(本体¥781)
  • 講談社(2014/11発売)
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  • ISBN:9784062734660

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内容説明

心傷ついた女、障害を持つ男、信心篤(あつ)い無垢な者……師匠(パトロン)達は四国の森に根拠地を作る。だが棄教で一度芽生えた不信感は拭い去れず、グループ間の対立も燻(くすぶ)り続ける。やがて悲劇の予感と共に教団再建の大集会が始まり、師匠は「新しい人」に全てを託す。 再生と救いを追究し、“魂のこと”を求め続けた大江文学の集大成。

目次

第十七章 場所には力がある
第十八章 受容と拒否(一)
第十九章 受容と拒否(二)
第二十章 「静かな女たち」
第二十一章 童子の蛍
第二十二章 よ な
第二十三章 「技師団」
第二十四章 聖痕はいかに受けとめられたか
第二十五章 テン窪を舞台とする芝居
第二十六章 未編集ヴィデオのような人間
第二十七章 「新しい人」の教会
第二十八章 奇 蹟
第二十九章 教 育
第三十章 案内人の思い出
第三十一章 夏の集会
第三十二章 師匠のために
終 章 永遠の一年

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

メタボン

32
☆☆☆★ 四国を舞台にした下巻からの展開に期待して読み進めたが、残念ながら冗長感を否めなかった。四国の森の神話の御霊達のハリボテとともに燃え上がる緑の木そのもののようにして師匠(パトロン)が自死するシーンは圧巻。またそれと同時に自死を目論む25人の「静かな女たち」が毒薬と思って飲んだ薬が古賀医師の企みにより下剤にすり替わっており、「二十五人もの上品なオナゴシがクソした沢」という地名となるというエピソードは、やはり大江らしいユーモア。ただ立花姉弟の殉死の必然性は理解できなかった。2022/10/04

フリウリ

11
正直にいって退屈で、神性や信仰の描き方も中途半端(そもそもの神性や信仰が中途半端?)に思え、ユーモアもすべりまくっていて、どうしたものかと思いましたが、この小説を「どう終わらせるのか」だけは気になり、速読とはいえ最後まで読ませたのは、さすがの仕事です。この壮大な失敗作(の経験)が、義兄の死(の経験)とあいまって、「取り替え子」以降のすぐれた三部作を生んだとすれば、意味があると思います。お疲れさまでした。52024/01/03

mstr_kk

10
下巻は、『燃えあがる緑の木』の続編という性格が強まり、上巻にあった小説としてのスリルは小さくなりました。だから上巻のほうが面白かったのですが、それでも、下巻まで含めた全体として、めちゃくちゃ面白かったです。この作品のために作られた登場人物が、みんな立っている。育雄の告白のところなど、『万延元年』の「本当の事を云おうか!」を思い出させるものがありました。個人的に好きな作品です。2024/03/02

呼戯人

8
自然の神は病んでいる。それは人間の内部の自然=魂も同じこと。祈りを通じて魂は癒されるのか。魂のことをするという人間の生に固有の問題を文学を通じて成し遂げようとする大江健三郎の祈りの文学。2015/05/21

井蛙

7
最後はやっぱり大江の終生のテーマだった神なき者の祈り、そこへ至る〈尻すぼみアンチクライマックス〉も大江流(尻すぼみっていうか、尻まるだしって感じだけどムププ)。しかし大江はなぜ師匠とともに立花さん姉弟を殺さねばならなかったのか?森生さんのような知的障害者こそ「新しい人」なのではなかったか?もはや森生さんのような人間の生存できないほど世界は腐敗しまったのか?(僕は大江が彼の息子を形象化した人物に純真さという眩いペンダントをかけ、彼をしばしば「少年のような」などと形容するのに違和感を感じる。もっともこうした→2019/10/24

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