生麦事件(上)

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生麦事件(上)

  • 著者名:吉村昭【著】
  • 価格 ¥572(本体¥520)
  • 新潮社(2013/03発売)
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  • ISBN:9784101117423

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内容説明

文久2(1862)年9月14日、横浜郊外の生麦村でその事件は起こった。薩摩藩主島津久光の大名行列に騎馬のイギリス人四人が遭遇し、このうち一名を薩摩藩士が斬殺したのである。イギリス、幕府、薩摩藩三者の思惑が複雑に絡む賠償交渉は難航を窮めた──。幕末に起きた前代未聞の事件を軸に、明治維新に至る激動の六年を、追随を許さぬ圧倒的なダイナミズムで描いた歴史小説の最高峰。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yoshida

124
上巻は生麦事件勃発から長州の攘夷、薩英戦争直前まで。生麦事件の詳細を知る。島津久光の大名行列に騎馬で遭遇し乗入れたイギリス人達。日本の文化格式を知らぬ彼等は下馬せず行列を逆行。遂に久光の駕籠近くに至り危険を感じ後退しようとして混乱。狼藉が過ぎ斬られる事態となる。そこには日本の文化や仕来たりを知ろうとしないイギリス人の傲慢もある。生麦事件の結果、幕府の権威は更に落ちる。薩摩と長州は現時点での攘夷が不可能と身を持って知る。諸侯連合の幕府を倒し、天皇制による統一国家樹立の動きが加速する。歴史の転換点を知る力作。2021/09/25

ケンイチミズバ

105
国力を高めて一致団結出来るまではとにかく過激な攘夷派を抑え込もうと奔走した久光。しかし、こともあろうかその家臣が外国人を殺傷するあまりの皮肉。大藩薩摩の威厳もあり、その大名行列は長さがおよそ1キロにも及ぶ。電車なら先頭車両が次の駅に到着してるのに最後尾はまだ手前の駅だよみたいな。街道筋への連絡の不行き届き、仕来りを理解していない外国人と攘夷か親幕かで割れる薩摩が直接遭遇してしまう運命のいたずら。歴史ってすごい。どちらの側にも頭に血が上って好戦的な者と冷静に判断し事をこれ以上荒立たせないよう動く者とがいた。2018/07/09

読特

66
「法に従ったとはいえ、殺すのはよくない」「事に付け込んで列強が攻めにくる」。人道面、政治面から薩摩側を責めたくなりがちだ。当の藩も嘘の言い訳をし、暗に非を認めている。ただ、当時の国際世論はあながち一方的でもない。NYタイムズは被害者側の無礼さこそを断罪している。攘夷は無謀だ。しかし、その後の歴史が証すように抵抗することで独立が保てた。生麦事件、下関戦争。どんな争いにも多面性がある。幕府、薩摩、長州、列強。今のところでどこにも肩入れして読んでいない。後編、薩英戦争。新たな視点が得られることを期待する。2022/10/01

レアル

62
この著者の膨大な裏付けによる物語から、生麦事件よりも薩英戦争へと向かう過程を知りたく読む。まず生麦事件へ入る前から大名行列にどのようなものが用意され、どのように進んだかというところから面白い。そして生麦村で起こったイギリス殺傷事件。どのような状態でその事件が起こったかが詳細に描かれている。そして幕府と薩摩がイギリスにとった行動。。この巻は薩英戦争が始まる直前まで。アバウトな枠組みを知ってはいても、詳細を読むと「そうだったのかぁ」と納得してしまう。下巻へ。2017/09/17

どぶねずみ

48
歴史の教科書では見かけなかった(と思う)明治維新前の大事件。横浜の居留地から川崎大師へ向かうイギリス人の馬が暴れだし、薩摩藩主島津久光の大名行列の中に踏み込んでしまったことによって、激昂した武士がイギリス人4人を切りつけて死傷者を出した。外国人が大名行列を乱したら切りつけても良いという日本の公法を他国の者には理解しかねるかもしれないが、どちらにも悪意はなかったであろう。イギリスは賠償金請求を含む薩摩藩の謝罪を求めるも、承服できずに交渉難航で薩英戦争に。この事件は明治維新に大きく影響を及ぼしているのだろう。2022/02/24

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