角川文庫<br> 旅涯ての地(下)

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角川文庫
旅涯ての地(下)

  • 著者名:坂東眞砂子
  • 価格 ¥616(本体¥560)
  • KADOKAWA(2013/09発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784041932070

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内容説明

〈山の彼方〉に辿り着いたマッダレーナと夏桂は司教ベルナルドにイコンを差し出した。その中にはカタリ派が探し求めていた『マリアによる福音書』が隠されていた。イエスの真の言葉がヘブライ語で書き記されたこの書が、ローマ教会の手で闇に葬りさられる前に、司教はラテン語への翻訳を急がせる。しかし、衝撃的な内容を知った司教は倒れ、大子ジュリアーノまでが、異端審問官への密告で火刑に処される。夏桂がもたらしたイコンが、村を、揺るぎないはずの信仰を、崩壊させてゆく…。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

343
下巻は物語の舞台を彼らが「山の彼方」と称する地に移す。彼らとはカトリックの側からは異端カタリ派と呼ばれていた人たちであり、トレヴィーゾの遥か北の山深いところに最後の拠点とも思われる集落を形成していた。『マグダラのマリアの福音書』とは、なんとも壮大かつ異端中の異端であろう。『ヨハンネス問答録』でさえも吹っ飛ぶくらいの。カトリックがこれを偽書として退け、焚書に付すのはいとも簡単である。しかし、物語としてはすごいアイディアだ。あるいは、そう語り伝えられる幻の書があるのかも知れないが。本編の終幕、そして⇒2019/06/12

KAZOO

94
坂東さんの珍しい海外のもので上下巻を比較的早く読みました。主人公は日本人と漢人の血が入った元の時代の奴隷です。マルコ・ポーロの一族が元からヴェネツィアに帰る時に一緒に連れて行かれます。上巻ではそのヴェネツィアでの生活が中心で後半は宗教にからむ謎が出てきます。下巻では上巻の後半に出てきた秘密のイコンの様なものをめぐる話で従来のキリスト教の教義とは相いれない者たちがからみます(ダ・インチコードの様な展開も)。マリアによる福音書がイコンに隠されていてその内容が最後には明かされます。非常に楽しめました。2023/05/19

財布にジャック

52
今まで読んだカタリ派関連の小説は全て、カタリ派の人々の結束は固く、ひたすら外敵との戦いだったのですが、この作品は信仰が揺らぎ皆がバラバラになっていくという悲しいストーリーなのである意味読むのが一番辛かったかもしれません。物語の核となる「マリアによる福音書」の内容も、創作とはいえ宗教関係者が読んだらまずいんじゃないかと心配になりました。坂東さんの作品は、実はこれが初読みだったのですが、いきなり心に残る作品から読めたことは大変ラッキーでした。2011/08/20

そら

42
下巻はがっつりキリスト教の話。正統派ではないという理由で火あぶりにされるカタリ派という宗派。いや〰、超大作でしたわ。読み終えて暫し”ぼうぜん”。。ムムム、、「過剰な信仰心と集団生活における負の部分」は、こういう歴史から学ばねばならないですね。人の命よりも信仰や教義が大事なのか?って、理性をもって、広い視野で個人的に考えたら、答えは簡単じゃない?と思うのは私が無神論者だからなのか。。みんなが幸せに生きるための信仰でしょ?とか思うは浅はかなのか。。浅はかですね(笑)。人類って愚かだから生きる価値があるのだ。2019/04/24

em

21
13世紀、マルコ・ポーロのヴェネツィアから始まる物語。宋人と倭人の子である主人公の放浪を追って行くうちに、読者は東の涯てから西へ、土俗の迷信や伝説、神の概念をなぞり、書かれない部分にも思いを馳せることに。そして辿り着くのはイタリア北部、カタリ派の聖地。異端とされた教えを、本流との問答、東やヴェネツィア商人と対置して捉えさせる著者の巧みな導きの船に乗って、この長大な旅を堪能しました。2017/08/07

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