内容説明
……「恐怖」に至る一歩手前で感じられる「奇妙」という感覚を描いてみたかった。日常と非日常、あるいは現実と非現実との境界線上に、きわどく存在する奇妙な世界。それを物語ることはぼくにとって、習作の頃から現在に至るまで、常に好奇心を刺激する試みであり続けている。(あとがきより)脳髄の片隅に封印された記憶がふとしたはずみに甦る違和感を描いた「みずひこのこと」をはじめ、掌編小説の名手がデビュー前夜に綴った幻の恐怖譚2編を含む6編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SGM
18
★★★ホラーと書いていますが、妖怪やら貞子やらそういったものは出てきません。著者が述べるように恐怖に至る前の奇妙という感覚を描いた短編作品集になっています。帰ってきたら閉めたはずの扉の鍵が開いている、、、そんな感じです。西洋風林檎ワイン煮は「優しくって少しばか」のバージョンの方が好きだが、本作に収録されいるバージョンもまた違ったアジがありよかった。収録作品:ミズヒコのこと、削除、ポール・ニザンを残して、空白を埋めよ、いやな音、屑籠一杯の剃刀2016/09/26
みんち
8
このところ乙一氏ばかり読んでいたのでそろそろ何か無いかと久々に古書店を物色していたところ、妙にタイトルとカバーが引っかかる本を見つけたので購入。というワケで、原田宗典氏の短編集「屑籠一杯の剃刀」を読了。家に帰って読み始めてみてピンと来た。……あぁこの本、新刊で出た時に買って読んだわ(笑) 収録順に。ふとした切っ掛けで小学生の頃の友人の事を思い出す「ミズヒコのこと」。高いところの下が怖くなる、というよりはウニや栗のイガが怖くなる(笑) 2017/01/22
enyo
3
原田マハさんのお兄さんで純文学作家の著者が描くホラー短編集。 どれも恐怖の前の奇妙をテーマにし、人間の不安な心理描写がリアルでした🎵 自身が頭上恐怖症となった原因を思い出す『みずひこのこと』が特に良かった。2022/09/19
有智 麻耶
3
どの作品も、恐怖、というよりはもやっとした不思議な感覚を残して終わる、そんな感じ。読んでいると、なんだか落ち着かなくなるなあ。2012/03/14
多田椎南
3
恐怖は原田さんの魅力の一部に過ぎないけれど、わたしには絶対的で完璧な聖なるもの、だったりします。