内容説明
「わたしはお岩、お岩の幽霊よ。今度の芝居の脚本だけはおことわんなさいよ。もし、この仕事を続けるなら……」。現代版四谷怪談を手がける劇作家のもとに電話がかかってきた。その言葉を裏付けるように、お岩の活人形を制作中の人形師が殺害された。四谷怪談そのままの形で起こる連続殺人の行方は……!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
64
墨野隴人シリーズ三作目。読み終えて著者の傑作は前期から中期に集中しているという感が強かった。道具立てこそ『四谷怪談』と雰囲気たっぷりなものであったが、記述があっさりとしていて見立てる必然性が少ない。『刺青殺人事件』の刺青や『人形は~』の人形は、それぞれの影が事件全体を覆っていて得も言われぬ雰囲気を醸し出していたが、今回はそれが表面に留まっているように感じられる。横溝正史や著者の過去作品は見立てが重要なのではなく、その見立てが必然な事が重要なのである事が確認できる。ラストも今となっては見慣れたものだし。2022/02/22
kinshirinshi
8
墨野隴人シリーズ第三弾は、四谷怪談になぞらえた連続殺人事件という、一風変わった「見立て」もの。「お岩」の正体が哀しい。刺青の因縁といい、泥沼の男女関係といい、いかにも昭和に書かれた推理小説、という印象だ。最後は蛇足な気もするが、どうやらシリーズを通しての伏線になっているようなので、評価はお預けにする。2021/01/16
Jimmy
3
どこかのミステリお勧めガイドに載っていたので手に入れていた作品ですが、まあ普通の本格っちゃあ本格のクオリティですが、キャラや文章がどうも軽く薄っぺらくて、スイスイと読めますが好ましくはない。高木彬光は「刺青」と「人形はなぜ」ぐらいしか読んでませんが、もう少し雰囲気はあった記憶があるのですが、このシリーズだけ俗っぽいのか。2019/01/17
たけとり
2
ちゃんとしたミステリに怪異が混じる作品だと「ミステリ事典」で紹介されてて、興味があったので読了。シリーズ物の3作目のようでしたが、コレ単独で読んでも問題なかったです。章ごとの区切りが短くてテンポ良いので、チビチビ読むのに便利でした。でも怪談のお岩さんの話は史実とは全然違うハズだから、お岩さんの幽霊が出てきちゃうと何かモニョる。しかし一番気になったのが解説。これシリーズの最後で何が起きるんだろう……。2012/05/23
shiaruvy
0
シリーズ最高傑作だけが行方不明の為,捜索隊出動中(T_T)