内容説明
元画家の秘密をめぐる物語を、巨匠がシニカルかつ温かく描いた感動長篇 わたしはラボー・カラベキアン。亡き妻の大邸宅に孤独に暮らす老人だ。かつては抽象表現派の画壇で活躍したこともあったが、才能に限界を感じて今では抽象画のコレクターに甘んじている。そんなある日、若くエネルギッシュな女性が現われ、わたしの人生も大きく変わることになった。彼女は、わたしが誰一人入らせない納屋にいったいどんな秘密があるのか、興味を示しだしたのだ……人類に奇跡を願い、奇才が贈る感動長篇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
GaGa
45
「母なる夜」とどうしても比べてしまうが、正直甲乙つけがたい。ただ、こちらの方がアイロニーに満ちているかも。そういう意味では好みかもしれない。ヴォネガットにしてはひねりは少ない方で読みやすく、感じやすい。これはSF小説特有の(まあ、SF小説ともいいがたいが)小難しさがないので、SF嫌いの人が読んでも楽しめると思う。2012/10/20
chanvesa
22
『ジェイルバード』の後からは好みでない作品が続いたが、『青ひげ』はすてきな物語である。芸術の孤高性は恥ずかしがりなので、えらそうにしていられないと思う。商業主義に取り憑かれた人間の目を「空き家」(87頁)と評することは面白い。また、「戦争の大目的は、あらゆる土地の女性をそんな状態(ひどい目に)おくことですものね。戦争はつねに男と女の戦いだった。(276頁)」というマリリー・ケンプの言葉は興味深いし、ジャガイモの納屋のラストに見事につながる。マリリー・ケンプとラボー・カラベキアンの片思いの関係も素敵だ。2023/08/26
fseigojp
17
アメリカにおける現代美術裏面史が勉強になった2016/07/31
ボーダレス
14
抽象表現画家である、片目の男ラボー・カラベキアンの過去の回想と現在の出来事を日記風に並行的に語られている自伝のようなもの。戦争や友人の死等が発端で心の傷である生存者症候群、サバイバーズギルドを負い、様々なトラウマを昇華したものがラストで秘密の部屋でもある、じゃがいも納屋で開示されるストーリー。ユーモアや悲愁を交え、訥々と語られる滑稽洒脱な抽象的文学作品。2019/08/07
鼠∞
13
SFじゃないヴォネガット。今回は片目の元絵描きラボー・カラベキアンが、自らの人生を回想するお話。いつも通りの狂人劇場とブラックユーモアがふんだんに散りばめられてるけど、ヴォネガットにしては読みやすいかも。タイトルは寓話の同名作品からとられたもので、あるものが隠されたじゃがいもの納屋を頑なに開けようとしないカラベキアンを指している。何があるのかは読んでからのお楽しみ(?)2022/05/19
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