ハヤカワ文庫SF<br> 青ひげ

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ハヤカワ文庫SF
青ひげ

  • ISBN:9784150112059

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内容説明

元画家の秘密をめぐる物語を、巨匠がシニカルかつ温かく描いた感動長篇 わたしはラボー・カラベキアン。亡き妻の大邸宅に孤独に暮らす老人だ。かつては抽象表現派の画壇で活躍したこともあったが、才能に限界を感じて今では抽象画のコレクターに甘んじている。そんなある日、若くエネルギッシュな女性が現われ、わたしの人生も大きく変わることになった。彼女は、わたしが誰一人入らせない納屋にいったいどんな秘密があるのか、興味を示しだしたのだ……人類に奇跡を願い、奇才が贈る感動長篇

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

GaGa

45
「母なる夜」とどうしても比べてしまうが、正直甲乙つけがたい。ただ、こちらの方がアイロニーに満ちているかも。そういう意味では好みかもしれない。ヴォネガットにしてはひねりは少ない方で読みやすく、感じやすい。これはSF小説特有の(まあ、SF小説ともいいがたいが)小難しさがないので、SF嫌いの人が読んでも楽しめると思う。2012/10/20

chanvesa

21
『ジェイルバード』の後からは好みでない作品が続いたが、『青ひげ』はすてきな物語である。芸術の孤高性は恥ずかしがりなので、えらそうにしていられないと思う。商業主義に取り憑かれた人間の目を「空き家」(87頁)と評することは面白い。また、「戦争の大目的は、あらゆる土地の女性をそんな状態(ひどい目に)おくことですものね。戦争はつねに男と女の戦いだった。(276頁)」というマリリー・ケンプの言葉は興味深いし、ジャガイモの納屋のラストに見事につながる。マリリー・ケンプとラボー・カラベキアンの片思いの関係も素敵だ。2023/08/26

fseigojp

17
アメリカにおける現代美術裏面史が勉強になった2016/07/31

ボーダレス

13
抽象表現画家である、片目の男ラボー・カラベキアンの過去の回想と現在の出来事を日記風に並行的に語られている自伝のようなもの。戦争や友人の死等が発端で心の傷である生存者症候群、サバイバーズギルドを負い、様々なトラウマを昇華したものがラストで秘密の部屋でもある、じゃがいも納屋で開示されるストーリー。ユーモアや悲愁を交え、訥々と語られる滑稽洒脱な抽象的文学作品。2019/08/07

roughfractus02

8
作者の作品の回想録はいつも物語の流れを断片化するエピソードに満ちている。それら断片は過酷さによって回想者に記憶され、人生が運命ではなく偶然と気まぐれでできていることを読者に示す。画家であり退役軍人である本書の主人公は、自分の人生を日記のように書き記す。が、主人公が語り手である回想体の特徴にもかかわらず、本書は読者が回想される過去だけでなく回想者自身の現在も気になるという特徴を持つ。主人公が納屋の中に隠している「なんじゃもんじゃ」とは何か? 主人公はなぜ回想するのか?という問いが回想の最中で生まれるからだ。2023/06/21

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