内容説明
「警察は自殺だと言ってます。でも、私は自殺だなんて信じてません」福島県喜多方で排ガス自殺と断定された父の死因を承服できない清野翠。翠の父の友人であった「歴史と旅」藤田編集長の依頼をうけて浅見光彦は、彼女とともに残された“透明な遺書”をよりどころに、正々堂々、喜多方にむかうのだが。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
77
【浅見光彦】シリーズ第56弾。福島県喜多方市で、浅見光彦が仕事を貰う雑誌編集長の同窓生が、車にホースを引き込んだ状態で発見される。警察は自殺と断定するが、娘の翠は自殺は不自然であると父親の同僚西村に相談する。遺書は2通あり、車の中に遺されていた遺書は、封筒の中味が空っぽであった。タイトルはこの事を捉えているのだが、トリックでも謎解きでも何でもない。透明な遺書が、犯人をどの様に示唆しているのだろうかと、精一杯注意をして読んだが全くの徒労に終わる。物語は政財界と警察内部の癒着に纏らむ、定番だが読み応えはある。2020/08/18
Taka
34
旅と歴史のルポライター浅見光彦シリーズ。今回は政界を揺るがす疑獄事件を描いた大作でした。日本の闇に焦点を当てたなかなか重たい内容です。今年の読み納めです。2017/12/31
こら
31
病院本シリーズ。今回は福島県は喜多方市が舞台。車から偽装自殺死体が発見され、そこから浅見光彦が政界疑獄に切り込んでいく。内容的に腐敗した組織も関係し、スケールが大きく社会派推理小説として読み応え有りです。2020/12/31
E
9
よくある政治家と暴力団、警察の癒着収賄にまつわる疑獄事件。浅見の名推理は今回も光っていたけれど、ストーリー展開はちょっとありきたりだったかな…(^_^;)2018/05/04
風竜胆
8
内田氏の小説には、ひとつの方程式があるようである。公共事業のあるところには利権あり、利権のあるところには不正あり、そして不正のあるところには殺人事件ありといったパターンが多いが、今回の作品も、水戸黄門の印篭のごとく、見事にこのパターンを踏襲している。2013/03/31