内容説明
縞(しま)の合羽(かっぱ)に三度笠、軒下三寸借り受けての仁義旅――舞台、映画、歌でもおなじみの《股旅もの》。しかし、ここに収めた8編は単なるやくざのアクション・ドラマを越えた人間の物語だ。「股旅者も、武士も、町人も、姿こそ違え、同じ血を打っている人間であることに変りはない」。義理と人情のしがらみ、法の外に打ち捨てられた渡世人の意地と哀愁にそそぐ温かいまなざし。庶民派作家の真骨頂がここにある。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mak2014
1
初長谷川伸。映画では何作か観ていますが。ヤクザが主人公の股旅もの8篇。読んで最も印象に強く残ったのは、文章のテンポの良さ。地の文、会話いずれも声に出して、他人に聴かせることを意識しているような弾力ある文章。戯曲でも有名なので、観客を意識した文章なのかもしれないが。各々の主人公も、例外もあるが格好よすぎ。特に「八丁浜太郎」「髯題目の政」の主人公はヤクザというより男性の憧れの体現のようなキャラ。2017/02/22
みい⇔みさまる@この世の悪であれ
0
☆×4.5…ちょっと珍しい股旅もの。まさに「人間」が活きる作品ばかり。実はひとつのみ女性の股旅の作品があります。この女性、とかくかっこいいです。男ならほれてしまうはずですが、コワーイ女性ですよ。特に女たらしのあなたは要注意(笑)そのほかで言えばまるである昔話のような最後が印象的に思えた「三ツ角段平」でしょう。本当に深いお話ばかりでした。2012/06/03