内容説明
大学病院の精神科教授の夫は、二児を残して交通事故で脳死状態となった。ヴィオラ奏者の妻は、夫の患者に夫の生きている心臓を移植するよう、夫の同級生である心臓移植の名手に懇願する。最愛の夫の心臓は生きている。確かな鼓動を打って、かつての重病患者の体の隅々に生命の源の血を送り続け出している。しかし夫を失った妻に、心の空洞を埋めるすべはあるのだろうか? 最も今日的テーマに挑む、渾身の長篇小説。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shirou
3
中盤でモヤモヤしましたが、20年くらい前の作品なので仕方ないかと思います。 僕個人的には、脳死は人の死であると感じます。 そのため、臓器移植は脳死判定の議論のみが必要だと感じます。 ドナー家族とレシピエントの心のケアなど課題は多いデスが、必要な医療行為だと思います。 最近、この手の議論があまり聞かれないので、この作品を読んで色々と考えることが出来ました。2013/10/04
ソングライン
2
脳死心臓移植は成功し、ドナー、レシピエントのプライバシーが守られた代わりに心臓外科医の成功の名誉は公表されることがありませんでした。脳死からの移植を丁寧に描き、移植医療の是非、家族の心情、信仰、そして医師の良心を語った力作でした。2017/03/14
amaneshino
2
クレジットカードの申請のために、運転免許証の裏を捲って思わず、あ、って声に出していた。単なる備考欄だった場所がいつの間にか臓器移植の意思表示欄に変わってた。臓器移植に関する法案の改正と共に入ったらしい。全く知らなかった。ドナーカードはこんなにも近いところにある。そのことが、私の中で納得を得るのに発破をかけた。かけがえのないものは脳だというシンプルな考えが私が1に丸した唯一の理由。三徴候死による肺も心臓も瞳孔ですら代替が今や可能なんだから。『機械男』の記憶が明るい内に割り切れば意外とすんなり固まった。2013/05/29
maru
1
脳死者はいかにして死を遂げるか…。それぞれの立場でそれぞれの思いがあり、少し考えさせられた作品。2011/10/15
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