内容説明
今夜もまた、深い霧―。ぼくは霧が好きだ。とくに、あのことがあってからは・・・。そう、ぼく武智小五郎が迷いこんだ明治47年の幻想の魔都・東京。そこでぼくは乱歩の世界さながらに連続殺人鬼・恐怖仮面との華麗な対決をくりひろげるんだ。そして素敵な恋にもめぐりあう不思議な霧の夜のこと・・・。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫
2
明治四十七年、パラレルワールドの帝都東京で名探偵と怪人の対決を描いた浪漫溢れる探偵冒険小説かと期待して読んでみたら……ぜんぜん違った! 現実逃避で夢(妄想)の中に逃げ込んだら、自分の夢も思い通りにならなくてつらい体験をする幻想探偵小説? 主人公は自分好みの名探偵になりきるものの、推理的な要素はまったくなくて、名探偵のライバルに相応しいのはあーゆーキャラ!と決めつけて物語を進めていくようなそんなノリなのであります。それにしても一人語りが恐ろしく長くて、これをカットしたら半分の長さに収まったのでは。星3つ。2023/08/02
akiu
2
序盤にアメリカ青春小説のような主人公の苦悩が描かれたかと思いきや、明治四十七年(終わらない明治)にタイムスリップ。連続殺人事件が起きて探偵大活躍かと思いきや、純愛恋愛ものでした。エピローグは唐突に BL のかほり。想いがほとばしりすぎていて、とても熱い文体でありました。多分に演劇的でもあります(ミュージカルとしても上演されている)。あとがきまで熱い。2012/06/05
RISE
0
☆☆ ことばが多すぎていやになった。2012/08/12
雙楜
0
再読。以前読んだときよりずっと面白かった。栗本薫が力を出し切っていることが分かる。ただ……現実と夢との二重構造で物語を構成しているあたり、少し典型的すぎて読んでいて辛い。栗本薫があとがきで言う「欠点」が何を指しているのか分からないが、そのあたりが一般うけしない原因だと思う。2009/09/24