仮釈放

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仮釈放

  • 著者名:吉村昭【著】
  • 価格 ¥649(本体¥590)
  • 新潮社(2013/06発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101117294

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内容説明

浮気をした妻を刺殺し、相手の男を刺傷し、その母親を焼殺して無期刑の判決を受けた男が、16年後に刑法にしたがって仮釈放された。長い歳月の空白をへた元高校教師の目にこの社会はどう映るか? 己れの行為を必然のものと確信して悔いることのない男は、与えられた自由を享受することができるか? 罪と罰のテーマに挑み、人間の悲劇の原型に迫った書下ろし長編小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

185
二度の殺人を犯した男 菊谷の物語である。 テーマは 重く、仮釈放からの 日々を 男の内面を 感情を抑えた筆致で 丹念に描く。 著者版の「罪と罰」らしいが、 犯罪を犯した 菊谷の償いの気持ちはなく、 底に燻る 憤りだけが 不気味である。 仮釈放者が 持つ 世間への 後ろめたさが、 読者に 静かに 伝わる… 再婚した 豊子と 菊谷の 微妙な 感覚のズレが とても 哀しい終わり方だった。2020/02/11

yoshida

125
妻の浮気を目撃し殺害した菊谷。無期懲役となった彼は長い時間を経て仮釈放となる。仮釈放や保護司。実態は知らず興味深く読む。塀の外とのギャップに戸惑いつつ、事情を知り引き受けてくれた養鶏場で働く菊谷。息を潜めるように静かな生活を送る。保護司の家で出会った女性と悩みながら結婚するが、まさかの結末が待つ。人を襲う急な暴力衝動。菊谷はかつて教員で思慮深く、衝動とは無縁に思う。実際に仮釈放されてからの生活に粗暴さは見られない。だが強烈な怒りが彼を動かしてしまう。大概の人は自制心が働くのではないか。考えさせられる一冊。2021/09/14

モルク

93
無期懲役囚の菊谷は、模範囚であったがゆえに仮釈放の身となり出所する。15年間の社会の変容は凄まじかった。社会に対応しようとするが、なるべく人目を避けてひっそりと暮らしている姿が描かれる。彼を取り巻く人達も優しい。彼の犯した罪については途中まで詳細に明かされない。そして彼は妻に対しての自分の犯した行為を決して悔いてはいない。それで彼は真実の社会復帰を果たせるのか。もし自分のまわりにこのような人がいたら、本当に優しい気持ちのままいられるか、色眼鏡で見ないか、自信がない。2017/09/04

Satomi

92
ずっと願っていた。解放されたい、自由になりたいと。16年の服役を経て仮釈放された彼。しかし反省などしていなかったのだ。殺されて当然だと自分を正当化し、釈放されたいが為に真面目な模範囚を演じていただけだったのだ…。みんな騙されていた。おそらく本人も。服役中に身についてしまった習慣やクセ16年の間に変わってしまった世の中ヘの戸惑い。仮釈放されるまで、されてからの心理的な変化がゾッとするほどリアルに描き込まれている。ラストは圧巻、しばし放心。2017/02/14

アッシュ姉

92
これはまた凄い本だった。あらすじは確認せずに著者名とタイトルだけで即購入して読み進めたので、その内容に大層驚いた。ノンフィクションのごとく淡々と静かに語られていくが、まるで自分が仮釈放された無期刑囚になったように心を揺り動かされ、時に涙し、読み終わって茫然とした。興味を持っていただいた方には、前情報なしに先ずは読んでいただきたい。今年度下半期ランキング上位は吉村昭さんが独占。2016/10/13

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