内容説明
「……サキの短篇はコッソリひとりで楽しみたい本に属する。おかしな奴に教えておかしなことでも言われたらせっかくの貴重な発見が安っぽくなって困るからだ」(A.A.ミルン)。残酷さとユーモア、とぼけた語り口、簡潔な文体で、心の暗部を描き出すサキ。新訳4篇を含む86篇を発表順に編集して2冊で贈るサキの決定版。本巻には、人間の醜聞を次々と暴く、言葉をしゃべる猫の話『トバモリー』をはじめ、『ハツカネズミ』『エズミ』など44篇収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
103
たっぷり44篇の短編を収録。既読のお話も訳が違うと印象が変わる。以前読んだYA向きの新しい訳の方が、やはり格段に飲み込みやすかった。好きなのは動物もの。『猟の獲物』のオチには声を出して笑ってしまった。紳士・淑女の優雅な生活をひっかき回すクローヴィスのシリーズも面白い。お腹いっぱいになったので、2巻はまたいずれ。2017/12/18
shamrock
17
年越しでやっと読み終えた。訳者あとがきに書いてあった通り、一気読みよりも一日数編ずつ読んだ方が味わい深いわけで。時間をおいてまたじっくり読み返したい。クローヴィスものがいいなあ。2015/01/13
mizuha
10
皮肉な冷笑をたっぷり振りまく44の短編。一つ一つはごく短いけれど、どれを取っても読み応えは充分で、ちょっとした長編を読み切ったような充実感がある。どんな悪意を描いても上品で洗練された感じがするのは、さすがブラック・ジョークの先駆者。『ザ・ベスト・オ ブ・サキ II』もスタンバイ中。万華鏡を覗く気分で楽しもうと思う。2014/05/01
skellig@topsy-turvy
9
1つ1つが極上のチョコみたいな短編集(ブラックユーモアというビターエッセンス入り)。一気に読んでもちまちま読んでも面白い。2012/08/30
madhatter
7
再読。サキの作品は「一度に大量に読むものではない」とよく言われるし、確かにその通りだと思うのだが、私はおいしいものは一度に沢山食べたい、品性卑しき人間なので(笑)。一方で、冷静に考えれば、サキは残酷だったり、差別意識が強かったりする。だが、私は不快感を覚えないし、やっぱり彼の作品は面白い。中途半端にウェットな感じがなく、冷静さ(冷酷さではない)に徹して現実世界を捉え、作品世界に反映させているからではないだろうか。2011/10/23