内容説明
父秀忠の命で甲府に蟄居している弟駿河大納言忠長の処遇に苦慮する三代将軍家光。その忠長は自刃して果てる。寛永11年(1634)6月、家光は30万を越す供を従え京に入った。この上洛は、禁裏と幕府間のしこりをとき、泰平の空気をかもし出す大きな役割を果たした。生まれながらの将軍の一生。
感想・レビュー
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さつき
50
『徳川家康』を読み、その後の幕府草創期の様子が気になり手に取りました。冒頭は家光28歳から。尾張義直、紀州頼宣、水戸頼房の3人の叔父たちが家光と同世代であること、改めて気がつきました。家康に比べ短命で世を去った秀忠。その死に際し、波乱を起こさぬように様々な配慮、苦渋の決断がありました。駿河大納言忠長との、どこまでも噛み合わない兄弟仲が悲しいです。2017/07/23
都人
2
家光の生涯の本を読むのは初めて。勿論様々な本やドラマで 描かれていて、知っている一面はあるが。父秀忠の死から始まる。幼少時代は割愛なのかそれとも後の巻で触れるのか。2019/12/03
あき
2
『柳生宗矩』と被るところもそれなりにあるので復習になります。どこから始まるのかと思ったら、秀忠の死からでした。やはり最初の問題は弟忠長のこと。『徳川家康』ではお江与の方のイメージはそんなに悪くなかったのですが、家光にはどもりがあるために、忠長の方を偏愛していたということで印象が変わりました。秀忠ではなく家康が後継者を決めた背景にはこんな事情もあったのか。また『柳生宗矩』ではあまり描かれなかった御三家。忠長を巡る陰謀。断る忠長が少し格好良い。でも遅い・・。徳川家と加藤家がこんなに結びついていたことに驚き。2017/03/19
Debuchi Satoshi
2
秀忠。もう少し生きておくれよ。2017/02/21
水戸
2
秀忠の、いよいよもって命危うい病床のときに絡む家光の苦悩から、ふっきれる(?)というか、頭角を表すというか、いよいよ将軍としての存在を世に知らしめるところまで。状況や思想が、周囲の人間や時代によって、暗愚となったり傑物となったり、ほんの小さな差や思惑の交差など、目まぐるしい一巻目でした。2016/05/21