内容説明
玉砕の悲報があいついで大本営に飛びこみ、東条内閣は崩壊した。次なる小磯国昭内閣も戦争終結への策は取り得ず、サイパンを陥した米軍主力はフィリピンに迫って、苦境はさらに続く。もはや海と空の戦いに残されたのは、戦争史上例を見ない特攻作戦のみであった。神風・神雷特別攻撃隊、ついに出撃!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イプシロン
21
フィリピン決戦編。海の殴り込みといえる特攻作戦――捷号作戦。陸はレイテ島、ルソンでの徹底抗戦、自戦自活が描かれる。この巻にある「不借身命」精神と「正義のための軍」という意味を理解できなければ、皇軍であるとかなぜ玉砕するまで戦ったのかということは、わからないであろう。筆者は戦争の不毛さ残虐さ愚かさを訴えつつ、当時人としてこの皇軍精神に散った将兵に哀惜の意を表すために作品を書いている。そう思って読んでほしい。だが皇軍精神を失い戦後の西欧合理主義化した日本人にはそういうことが感じられないのかもしれない。2015/10/06
タッキー
12
中央からの無理な命令を伝える者、それを受ける現場の将、それを更に伝えられる現場の兵隊。三者三様で、誰も幸せにならない辛い戦争です。そして『人間抹殺の悪業を認めるほど立派なイデオロギーなどがあるはずないのにそれがあたかも正義であるかの如く妄想して愚行を演じ合っている』戦後24年時点で著者が書いているこの一文が、この巻では印象的でした。2023/04/01
後藤だいすけ
3
神風特攻隊の編成。日本はもはや兵士の命を引き換えにしてでも戦果を挙げなければならない程に追い詰められます。これは日本軍上層部の戦争指導の拙劣さ、愚かさの何物でもありません。そしてフィリピンでは栗田艦隊の反転によるレイテ作戦の失敗。栗田艦隊等4つの艦隊の指針、指標、意思統一がなされません。そして栗田艦隊の反転というお粗末な結果に。さらに陸軍の拠点をルソンからレイテへの急な変更による混乱。寺内元帥の撤退。この失敗は日本軍の戦略の曖昧さ、そして意思統一のなさか。これは日常の現代社会にも通じるものがあるでしょう。2014/06/19
saboshi
2
悲しすぎる。もっとなんとかならなかったのか。いつの時代も政治家がダメだよな。2022/11/30
鈴木貴博
2
神風特別攻撃隊編制、レイテ沖海戦、武蔵沈没、栗田艦隊反転、レイテ島戦、ルソン島戦、マニラ戦、フィリピン戦の顛末。2021/06/20