万葉秀歌 〈下巻〉

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万葉秀歌 〈下巻〉

  • 著者名:斎藤茂吉
  • 価格 ¥792(本体¥720)
  • 岩波書店(2013/08発売)
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  • ISBN:9784004000037

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内容説明

「万葉集入門」として本書の右に出るものはいまだない.万葉の精神をふまえて自己の歌風を確立した一代の歌人たる著者が,約四百の秀歌を選び,簡潔にしてゆきとどいた解説を付して鑑賞の手引きを編んだ.雄渾おおらかな古代の日本人の心にふれることにより,われわれは失われたものを取り戻す.

目次

目  次
   従属選出歌

 巻第八

 石激る垂水の上の(志貴皇子・一四一八)

 神奈備の伊波瀬の杜の(鏡王女・一四一九)

 うち靡く春来るらし(尾張連・一四二二)

 春の野に菫採みにと(山部赤人・一四二四)

 百済野の萩の古枝に(山部赤人・一四三一)

 蝦鳴く甘南備河に(厚見王・一四三五)

 平常に聞くは苦しき(大伴坂上郎女・一四四七)

 波の上ゆ見ゆる児島の(笠金村・一四五四)

 神名火の磐瀬の杜の(志貴皇子・一四六六)

 夏山の木末の繁に(大伴家持・一四九四)

 夕されば小倉の山に(舒明天皇・一五一一)

 今朝の朝け雁がね聞きつ(穂積皇子・一五一三)

 秋の田の穂田を雁がね(聖武天皇・一五三九)

 夕月夜心も萎に(湯原王・一五五二)

 あしひきの山の黄葉(大伴書持・一五八七)

 大口の真神の原に(舎人娘子・一六三六)

 沫雪のほどろほどろに(大伴旅人・一六三九)

 吾背子と二人見ませば(光明皇后・一六五八)

 巻第九

 巨椋の入江響むなり(柿本人麿歌集・一六九九)

 さ夜中と夜は深けぬらし(柿本人麿歌集・一七〇一)

 うちたをり多武の山霧(柿本人麿歌集・一七〇四)

 御食むかふ南淵山の(柿本人麿歌集・一七〇九)

 落ちたぎち流るる水の(作者不詳・一七一四)

 楽浪の比良山風の(柿本人麿歌集・一七一五)

 泊瀬河夕渡り来て(柿本人麿歌集・一七七五)

 旅人の宿りせむ野に(遣唐使随員の母・一七九一)

 潮気たつ荒磯にはあれど(柿本人麿歌集・一七九七)

 巻第十

 ひさかたの天の香具山(柿本人麿歌集・一八一二)

 子等が名に懸けのよろしき(柿本人麿歌集・一八一八)

 春霞ながるるなべに(作者不詳・一八二一)

 春されば樹の木の暗の(作者不詳・一八七五)

 春日野に煙立つ見ゆ(作者不詳・一八七九)

 百礒城の大宮人は(作者不詳・一八八三)

 春雨に衣は甚く(作者不詳・一九一七)

 卯の花の咲き散る岳ゆ(作者不詳・一九七六)

 真葛原なびく秋風(作者不詳・二〇九六)

 秋風に大和へ越ゆる(作者不詳・二一二八)

 朝にゆく雁の鳴く音は(作者不詳・二一三七)

 山の辺にい行く猟夫は(作者不詳・二一四七)

 秋風の寒く吹くなべ(作者不詳・二一五八)

 秋萩の枝もとををに(作者不詳・二一七〇)

 九月の時雨の雨に(作者不詳・二一八〇)

 大坂を吾が越え来れば(作者不詳・二一八五)

 吾が門の浅茅色づく(作者不詳・二一九〇)

 さを鹿の妻喚ぶ山の(作者不詳・二二二〇)

 思はぬに時雨の雨は(作者不詳・二二二七)

 さを鹿の入野のすすき(作者不詳・二二七七)

 あしひきの山かも高き(柿本人麿歌集・二三一三)

 巻向の檜原もいまだ(柿本人麿歌集・二三一四)

 あしひきの山道も知らず(柿本人麿歌集・二三一五)

 吾が背子を今か今かと(作者不詳・二三二三)

 はなはだも夜深けてな行き(作者不詳・二三三六)

 巻第十一

 新室を踏み鎮む子し(柿本人麿歌集・二三五二)

 長谷の五百槻が下に(柿本人麿歌集・二三五三)

 愛しと吾が念ふ妹は(柿本人麿歌集・二三五五)

 朝戸出の君が足結を(柿本人麿歌集・二三五七)

 垂乳根の母が手放れ(柿本人麿歌集・二三六八)

 人の寝る味宿は寝ずて(柿本人麿歌集・二三六九)

 朝影に吾が身はなりぬ(柿本人麿歌集・二三九四)

 行けど行けど逢はぬ妹ゆゑ(柿本人麿歌集・二三九五)

 朱らひく膚に触れずて(柿本人麿歌集・二三九九)

 恋ひ死なば恋ひも死ねとや(柿本人麿歌集・二四〇一)

 恋ふること慰めかねて(柿本人麿歌集・二四一四)

 山科の木幡の山を(柿本人麿歌集・二四二五)

 大船の香取の海に(柿本人麿歌集・二四三六)

 ぬばたまの黒髪山の(柿本人麿歌集・二四五六)

 我背子に吾が恋ひ居れば(柿本人麿歌集・二四六五)

 山萵苣の白露おもみ(柿本人麿歌集・二四六九)

 垂乳根の母が養ふ蚕の(柿本人麿歌集・二四九五)

 垂乳根の母に障らば(作者不詳・二五一七)

 苅薦の一重を敷きて(作者不詳・二五二〇)

 振分の髪を短み(作者不詳・二五四〇)

 念はぬに到らば妹が(作者不詳・二五四六)

 斯くばかり恋ひむものぞと(作者不詳・二五四七)

 相見ては面隠さるる(作者不詳・二五五四)

 人も無き古りにし郷に(作者不詳・二五六〇)

 偽も似つきてぞする(作者不詳・二五七二)

 早行きて何時しか君を(作者不詳・二五七九)

 面形の忘るとならば(作者不詳・二五八〇)

 あぢき無く何の枉言(作者不詳・二五八二)

 奥山の真木の板戸を(作者不詳・二六一六)

 月夜よみ妹に逢はむと(作者不詳・二六一八)

 燈のかげに耀ふ(作者不詳・二六四二)

 難波人葦火焚く屋の(作者不詳・二六五一)

 馬の音のとどともすれば(作者不詳・二六五三)

 窓ごしに月おし照りて(作者不詳・二六七九)

 彼方の赤土の小屋に(作者不詳・二六八三)

 潮満てば水沫に浮ぶ(作者不詳・二七三四)

 朝柏閏八河辺の(作者不詳・二七五四)

 あしひきの山沢回具を(作者不詳・二七六〇)

 蘆垣の中の似児草(作者不詳・二七六二)

 道のべのいつしば原の(作者不詳・二七七〇)

 神南備の浅小竹原の(作者不詳・二七七四)

 さ寝かにば誰とも宿めど(作者不詳・二七八二)

 山吹のにほへる妹が(作者不詳・二七八六)

 こもりづの沢たづみなる(作者不詳・二七九四)

 人言を繁みと君を(作者不詳・二七九九)

 あしひきの山鳥の尾の(作者不詳・二八〇二)

 巻第十二

 わが背子が朝けの形(柿本人麿歌集・二八四一)

 愛しみ我が念ふ妹を(柿本人麿歌集・二八四三)

 山河の水陰に生ふる(柿本人麿歌集・二八六二)

 朝去きて夕は来ます(作者不詳・二八九三)

 玉勝間逢はむといふは(作者不詳・二九一六)

 幼婦は同じ情に(作者不詳・二九二一)

 今は吾は死なむよ我背(作者不詳・二九三六)

 吾が齢し衰へぬれば(作者不詳・二九五二)

 ひさかたの天つみ空に(作者不詳・三〇〇四)

 能登の海に釣する海人の(作者不詳・三一六九)

 あしひきの片山雉(作者不詳・三二一〇)

 巻第十三

 相坂をうち出でて見れば(作者不詳・三二三八)

 敷島の日本の国に(作者不詳・三二四九)

 川の瀬の石ふみ渡り(作者不詳・三三一三)

 巻第十四

 夏麻引く海上潟の(東 歌・三三四八)

 筑波嶺に雪かも降らる(東 歌・三三五一)

 信濃なる須賀の荒野に(東 歌・三三五二)

 天の原富士の柴山(東 歌・三三五五)

 足柄の彼面此面に(東 歌・三三六一)

 ま愛しみさ寝に吾は行く(東 歌・三三六六)

 武蔵野の小岫が雉(東 歌・三三七五)

 鳰鳥の葛飾早稲を(東 歌・三三八六)

 信濃路は今の墾道(東 歌・三三九九)

 吾が恋はまさかも悲し(東 歌・三四〇三)

 上毛野安蘇の真麻むら(東 歌・三四〇四)

 伊香保ろのやさかの堰に(東 歌・三四一四)

 下毛野みかもの山の(東 歌・三四二四)

 下毛野安蘇の河原よ(東 歌・三四二五)

 鈴が音の早馬駅の(東 歌・三四三九)

 おもしろき野をばな焼きそ(東 歌・三四五二)

 稲舂けば皹る我が手を(東 歌・三四五九)

 あしひきの山沢人の(東 歌・三四六二)

 植竹の本さへ響み(東 歌・三四七四)

 麻苧らを麻笥に多に(東 歌・三四八四)

 児もち山若かへるでの(東 歌・三四九四)

 高き峰に雲の着く如す(東 歌・三五一四)

 我が面の忘れむ時は(東 歌・三五一五)

 昨夜こそは児ろとさ宿しか(東 歌・三五二二)

 防人に立ちし朝けの(東歌・防人・三五六九)

 葦の葉に夕霧立ちて(東歌・防人・三五七〇)

 巻第十五

 あをによし奈良の都に(作者不詳・三六〇二)

 わたつみの海に出でたる(作者不詳・三六〇五)

 百船の泊つる対馬の(新羅使・三六九七)

 天離る鄙にも月は(新羅使・三六九八)

 竹敷のうへかた山は(新羅使・大蔵麿・三七〇三)

 あしひきの山路越えむと(狭野茅上娘子・三七二三)

 君が行く道の長路を(狭野茅上娘子・三七二四)

 あかねさす昼は物思ひ(中臣宅守・三七三二)

 帰りける人来れりと(狭野茅上娘子・三七七二)

 巻第十六

 春さらば挿頭にせむと(壮士某・三七八六)

 事しあらば小泊瀬山の(娘子某・三八〇六)

 安積山影さへ見ゆる(前の采女某・三八〇七)

 寺寺の女餓鬼申さく(池田朝臣・三八四〇)

 仏造る真朱足らずは(大神朝臣・三八四一)

 法師らが鬚の剃杭(作者不詳・三八四六)

 吾が門に千鳥しば鳴く(作者不詳・三八七三)

 巻第十七

 あしひきの山谷越えて(山部赤人・三九一五)

 降る雪の白髪までに(橘諸兄・三九二二)

 たまくしげ二上山に(大伴家持・三九八七)

 婦負の野の薄おし靡べ(高市黒人・四〇一六)

 珠洲の海に朝びらきして(大伴家持・四〇二九)

 巻第十八

 あぶら火の光に見ゆる(大伴家持・四〇八六)

 天皇の御代栄えむと(大伴家持・四〇九七)

 この見ゆる雲ほびこりて(大伴家持・四一二三)

 雪の上に照れる月夜に(大伴家持・四一三四)

 巻第十九

 春の苑くれなゐにほふ(大伴家持・四一三九)

 春まけて物がなしきに(大伴家持・四一四一)

 もののふの八十をとめ等が(大伴家持・四一四三)

 あしひきの八峰の雉(大伴家持・四一四九)

 丈夫は名をし立つべし(大伴家持・四一六五)

 この雪の消のこる時に(大伴家持・四二二六)

 韓国に往き足らはして(多治比鷹主・四二六二)

 新しき年の始に(道祖王・四二八四)

 春の野に霞たなびき(大伴家持・四二九〇)

 わが宿のいささ群竹(大伴家持・四二九一)

 うらうらに照れる春日に(大伴家持・四二九二)

 巻第二十

 あしひきの山行きしかば(元正天皇・四二九三)

 木の暗の繁き尾の上を(大伴家持・四三〇五)

 我が妻も画にかきとらむ(防 人・四三二七)

 大君の命かしこみ(防 人・四三二八)

 百隈の道は来にしを(防 人・四三四九)

 蘆垣の隈所に立ちて(防 人・四三五七)

 大君の命かしこみ(防 人・四三五八)

 筑波嶺のさ百合の花の(防 人・四三六九)

 あられ降り鹿島の神を(防 人・四三七〇)

 ひなぐもり碓日の坂を(防 人・四四〇七)

 防人に行くは誰が夫と(防人の妻・四四二五)

 小竹が葉のさやぐ霜夜に(防 人・四四三一)

 雲雀あがる春べとさやに(大伴家持・四四三四)

 剣刀いよよ研ぐべし(大伴家持・四四六七)

 現身は数なき身なり(大伴家持・四四六八)

 いざ子ども戯わざな為そ(藤原仲麿・四四八七)

 大き海の水底深く(石川女郎・四四九一)

 初春の初子の今日の(大伴家持・四四九三)

 水鳥の鴨の羽の色の(大伴家持・四四九四)

 池水に影さへ見えて(大伴家持・四五一二)

 あらたしき年の始めの(大伴家持・四五一六)
   改版に際して

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

74
下巻は巻8以降から採られている作品が収められています。斎藤茂吉の好みの作品は偏っている感じがしました。柿本人麻呂や大伴家持が好きでかなりの歌が掲載されています。というかやはりいい歌は皆が認める感じなのでしょう。東歌も多く採られています。2015/09/16

獺祭魚の食客@鯨鯢

69
岩波本がほぼ揃っている神保町ブックセンターで珈琲を飲みながら。 新刊本を買う時は立読みしてよく吟味し「えいやっ」と気合いを入れて選びますが、帰宅後には代金を払う時の熱が醒めていることが少なくありません。 何か男女の恋愛と似ているように思います。 本書では万葉集の四千五百の一割を歌人 斎藤茂吉により秀歌として撰ばれています。歴史に即して並べていないため、目次を手掛かりに探します。 新元号選定以後折に触れて読み込んでいるつもりですが、既知の歌は僅かでした。まだまだです。2019/11/15

夜間飛行

63
《神なびの伊波瀬の社の喚子鳥いたくな鳴きそ吾が恋ひまさる》の「よぶこどり」は恋心を募らせる鳥だそうだが、一体どんな鳴き方をするんだろう? この鳥の実体を自分は知らないのに、歌に込められた気持を素直に受け取れるのは不思議である。茂吉はそれを喚子鳥という言葉の喚起力によるのだと説明する。もしかしたら、喚子鳥は実体を喪う事によって却って言葉としての命を得たのかも知れない。そもそも全ての書かれた言葉は展翅板に貼りつけられた蝶みたいに実体を喪っているともいえるが、そこに命を吹き込むのが写生ではないかと思ったりした。2014/11/13

スプーン

45
しみじみとした愛の歌が多く、愛の深さに今も昔も無いのがわかる。今回わかったのは「万葉集」とは、わたしや、あなたの、歌であるという事。1200年前に詠われた私の歌である。2019/03/08

しゅてふぁん

43
読み始めた頃は初期万葉は苦手だった。しかし最後まで読んでみると、初期の歌は言葉が難しくて読みにくい上に何を言っているのかよくわからない、でも素敵だったなと思えてきた。不思議だ。そのよくわからない魅力について、自分の中で答えが出せるくらい読み込んでいきたいと思える素敵な歌集に出会えて嬉しい。『弱い結句は万葉には絶対に無い。(P120)』と言い切れる斎藤氏が素敵です!2018/05/27

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