内容説明
現代ゴンド・アートの第一人者バッジュ・シャームが中央インドのゴンド民族に伝わる創造神話の豊かな世界に分け入り人々の日々の暮らしに息づく数多の物語の本質をつかみ取り壮大なスケールで描き上げた画期的な絵本。「夜の木」（タムラ堂）と同様に、南インドの小さな工房にて古布を原料とした手漉きの紙に、シルクスクリーン印刷で刷られさらに手作業による製本で、１冊ずつ丁寧に仕上げられている。（シリアルナンバー入り）
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
261
ゴンド・アート※の第一人者バッジュ・シャーム作、ギーター・ヴォルフ文。中央インドのゴンド民族の神話・伝承を絵画化したもの。内容はまさに創世記（宇宙と人類の始まり）である。未生の魚にはじまり、水、大気、ミミズと泥、７種の土、時、季節、聖なる種、原初の卵、芸術の誕生、死と再生の順で語られる。いずれも未だ見たことがない絵である。とりわけ凄いと思ったのは「聖なる種」の絵。「時」の意匠も素晴らしい。いずれも宇宙の根源からもたらされたものの如くである。それは、世界のいずれの神話とも通底しうるのではないかと思うほどに。2024/08/27
キジネコ
56
この本は良い匂いがします。手触りの温もりも楽しめます。そもそも厳密で正確な情報と云うのは世界にも、本の中にも存在しない、と私は思うんです。物語と一人の読者、其々の関係性が世界において唯一である様に、培われてきた知覚と本が対峙するときに生れる作用の不思議は、やはり世界に唯一のものだとも思うんです。その感覚が手の中の本を無二のものにします。出会いは偶然であれ必然であれ「縁」によって導かれ、この本は私が「今」必要とするものを与えてくれます。はじまりと終わりは一対の連環なのだと。世界を回すのは「縁」と「愛」やと。2020/03/10
らぱん
54
①この世界はどのようにしてできたのか。ゴンド族の世界観が窺える創世神話で、絵も良いが物語がまた良い。ゴンドにとっての魚は生命の象徴で、物語の最初と最後は魚なのだが、最初の魚は生まれる前であり、最後の魚は死と再生であり円環を表現している。日常と宇宙がそのまま繋がるぶっ飛んだ感性を持ち、合理性が高く論理的な思考をする人たちには、秩序は重要だ。人間は想像し創造する。生きることは芸術になる。世界は終わりのない循環によって成立している。すなわち、循環しない世界はいつか終わるということだ。初版1046/3000↓ 2020/02/14
らぱん
50
初読は図書館で借りて欲しくなったが限定本で購入するには法外な価格だったために諦めていた。第三刷が発売されたのを知り買ってしまった。初版とは表紙の色を変えており書影とは異なる色使いで産まれる前の魚の色はモーヴ色になっている。中身の色は変わらない。 ここにあるのはゴンド族の世界観であり、当然ながら初読時と内容は変わっておらず、大きな生命の循環を感じることが出来たが、コロナ禍という状況の変化でそこからブレていた自分を発見することができた。再読してよかった、買ってよかったと思う。 第三刷1523/2000↓2020/07/03
チャーリブ
47
私が読んだのは４刷。中央インドのゴンド民族に伝わる宇宙生成の物語を、複雑で鮮やかな10枚の絵と文章で描いています。絵本と言うよりも画集みたいです。表紙の魚は宇宙が生まれるのを待っている存在しない魚。彼らの宇宙はまず水がほとばしり出るところから始まるそうです。作品は手作りで、紙は手で漉いたもの、印刷はシルクスクリーン、製本も手仕事。裏表紙には、○○of 2000というエディションナンバーがついていました。○2023/07/14
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- 和書
- 新修甲州法制史 ３
