内容説明
大阪で過ごした少年期のこと、貸本出版終焉の時代に日の丸文庫で出会った漫画家たち、『喜劇新思想大系』を旗印に集まった双葉社の編集者たちとの日々、そして、『がきデカ』が生まれたその瞬間―。
目次
赤いホテル
ぽん酢
恋の都
メジャーリーグと日本建築の間
手のとどく距離
旦那衆
馬場のぼる幻影
犬物語
あの頃ぼくは眠かった
タッチの迷宮〔ほか〕
著者等紹介
山上たつひこ[ヤマガミタツヒコ]
1947年徳島県生まれ。出版社勤務を経て漫画家に。特に『がきデカ』は社会的にも大ブームとなり、掲載誌の「少年チャンピオン」を少年誌初の二百万部に押し上げた。1990年、マンガの筆をおき、本名の「山上龍彦」として、『兄弟!尻が重い』『蝉花』『春に縮む』などを発表。2003年より、再び「山上たつひこ」として、小説『追憶の夜』(のちに『火床より出でて』と改題)を発表し、漫画「中春こまわり君」を描く。原作を担当した『羊の木』(いがらしみきお画)で、2015年文化庁メディア芸術祭優秀賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たぬきごんべい
21
山上たつひこのエッセイ集。もう少し「がきデカ」誕生秘話や自伝っぽい内容かと思っていたらそうでもなく、ちょっとがっかり。でも梅本さちおや政岡としやなど懐かしい名前を発見出来て嬉しい。「死刑」のポーズは高校生の頃とても流行っていて真似してました、今なら間違えなく「ゲッツ」と言われる。(^^) ★2.52018/10/16
tama
11
図書館本 山上たつひこ好きだったから。光る風、喜劇新思想体系(文庫版持ってた)が好きで、がきデカはちょっと、というか・・・他の作品をあまり知らない。マンガを止めたのは知ってたけど読むのは初めて。おもしろかった。他の作品読みたくなってきた。光る風からの大変化はそういうことだったのね。白州恭子は小説?事実?小説は物語作りで疲労困憊、漫画は更に絵を描かねば!言われてみれば確かに。地元図書館にも小説結構あるので楽しみ。2018/04/16
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
11
そうか、大阪弁の犬とは栃の嵐のことだったか!絵が描けていたら小説家になどならず漫画家になっていた、というのは吉本ばななの発言ですが、物語が作れる上に絵が描ける漫画家にとって、テキスト”だけ”ってのはそう重い作業ではないのだろうな、というのは漫画家にあまりにも達者な物書きが多いから。自伝とあるので時系列でシーケンシャルなものかと思ったら、金沢に移住してからの日常を綴ったものとがきデカ創生期の貴重なエピソードの2本立て。がきデカとマカロニほうれん荘をリアルに読めていたことは(ついでにすすめ!パイレーツも)今→2017/11/04
brzbb
5
社会不適合な、まわりの人間の神経を逆なでするゴツゴツした自意識。車谷長吉の自伝的小説を連想した。金沢での日々の暮らしを書いたエッセイ部分は、世代も違うし「ふーん」というかんじだったけど(中年の哀愁漂う現実にギャグが挟まる「中春こまわり君」はすごくおもしろかった)、大阪貸本時代や「喜劇新思想大系」や「こまわり君」執筆当時の心情は興味深かった。2017/12/19
templecity
4
◎山上たつひこのエッセイ。最後にガキデカが成功するまでを記載している。コミックなども当たると数千万円が入るとは凄い。その前は結構貧相な暮らしをしていたのだと思う。今は金沢で文化人として過ごしている。貸漫画で身を起こした漫画家が如何に多いことか。 2018/03/12