内容説明
やむにやまれぬ、正当化される戦争(正戦)はありうる。ただしそれは、戦争すること自体、戦争行為、さらには戦争後を含むあらゆる側面から常に、道徳的批判に堪えうるかどうかを厳しく検証されなければならない。
目次
第1部 理論(正戦論の勝利(およびその成功の危険性)(二〇〇二年)
二種類の軍事責任(一九八〇年)
緊急事態の倫理(一九八八年) ほか)
第2部 ケース(湾岸戦争の正義と不正義(一九九二年)
コソヴォ(一九九九年)
インティファーダとグリーンライン(一九八八年) ほか)
第3部 未来(世界を統治する(二〇〇〇年))
著者等紹介
駒村圭吾[コマムラケイゴ]
1960年生まれ。現在、慶應義塾大学法学部・同大学院法務研究科教授。法学博士。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学
鈴木正彦[スズキマサヒコ]
1976年生まれ。現在、慶應義塾大学法学部・鎌倉女子大学非常勤講師。博士(法学)。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程修了
松元雅和[マツモトマサカズ]
1978年生まれ。現在、慶應義塾大学先導研究センター特別研究講師。博士(法学)。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Ecriture
7
イラク反戦にあたってベンスラマ、トッド、クルバージュ、ロダンソン、大澤真幸系の論調ではダメなのだということは十分論じられている。イラク戦争が不正であるにも関わらず反戦デモに加わる気のないウォルツァーの複雑な立場がよくわかる一冊。「戦争は最終手段ではない」というフランスへの当てつけは説得力があって一読の価値がある。が、「やっちゃったんだから仕方ないじゃん」という開き直りのもとに成り立つ議論が多く、予防戦争がどういう基準で行われるのかという議論にもムラがある。ポモ左派の筆頭がフィッシュなのも手を抜いている。2011/01/22
メルセ・ひすい
1
10. 18 基本的なスタンスがアウグスティヌスの正戦論⇒基督教絶対平和主義者の徹底的な拒絶を基督教戦士の能動的聖戦に取って替えた。パクス・ロマーナのための戦い。現代の正戦論者として知られるマイケル・ウォルツァーが1980年から2003年のあいだに執筆した、戦争に関連する諸論文を翻訳。巻末には訳者解題も収録。 2008/07/29