内容説明
著者の、40年にわたる医師生活の中で患者(人々)との関わり合いを通じて集積されたデータ(臨床研究)を国内外に発表した成果。本書には「循環器診療の落とし穴」と題して筆者が経験した誤診しやすい症例や病態が集められている。各例に関して症例呈示に始まり、問題点ならびにポイントが示されている。問題点では、落とし穴に陥った理由などが、またポイントではどうすれば誤診が避けられたかなどに関してそれぞれ述べられている。
目次
1 循環器診療の落とし穴(舌下錠で失神した「狭心症」患者、72歳、男性;「心拍数50だ、緊急ペーシングが必要」といわれた45歳、主婦 ほか)
2 意外にたやすく生じる心臓性緊急症(診察直前に生じた脳卒中を起こした64歳、主婦;「心不全」で紹介された59歳、男性 ほか)
3 循環器患者の疾病構造の急変に驚く(心不全患者について―基礎疾患と治療は四半世紀で急速に変遷;弁膜症患者の変遷―当科の入院患者24年間での検討)
4 心臓病の予防に挑む(一般市民に早期医療に関する啓蒙運動を開始―成人病予防研究会;急性心筋梗塞初発時における患者の意識調査―新聞紙上で報道「遅れる心筋梗塞患者の対応・胃痛などと間違える」 ほか)
5 外来心臓病学のすすめ(循環器外来診療と「落とし穴」)
6 「心臓」から「ハート」へ(心臓病教育に力を注ぐ;全人医療への関心―現代医療の問題点と自然治癒力との出会い ほか)