感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山がち
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相当な良書である。江戸時代の和歌を幅広くかつ丁寧に抑えている。近世和歌にとっては必読の書であろう。堂上と地下の関係がやや物足りないが、一つ一つのトピックがきちんと書かれている。近世堂上和歌が二条家の流れを汲んでいるというのが歌学の点からよく伝わってくるし、また戸田茂睡の制詞批判や国学派の堂上批判などが決して一枚岩ではなく種々のレイヤーの中にあるというのもおぼろ毛ながら見えてきたように思う。近世和歌の見取り図を頭の中に入れるためという点でも、今後繰り返し読んでいく必要がある本の内のひとつではあるといえよう。2014/05/25