感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
またの名
8
「外国人許さねぇ」「ナチ野郎に同意するくらいなら死ぬ方がマシ」等のように過激派からリベラルまでが腹の底から漏れ聞こえてくる本音を抱えながら、建前では笑顔を作って公共性を維持するための哲学論文。哲学者ローティが公的な市場バザールでの接客用スマイルと私的な飲み空間クラブでの吐き出しを区別して、かつその使い分け的な両立によって社会が保たれると主張した論考は、公私の混合が加速するネット時代に少なからず重要そうに響く。青年期マルクスが問題視した公人と私人の分裂を、むしろ固定させて解決を図るブルジョアリベラルの哲学。2024/12/07
Mimi Ichinohe
6
バザールは市場、ここで物を売るには表の顔が必要。クラブは仕事の後に寄るいつもの店、私的な場所。というのが、哲学者リチャード・ローティ(1931-2007)の「公/私の区別」という主題に参照される例え話。 この「クラブ-私」には排他的であるという危うさも含まれる。誰かの悪口を言っちゃうとか。 人間社会では、「公-バザール」が強いが、それだけでは成り立たない。 本著では、「私」をより豊かに魅力的にし、それが「公」に認められるとバランスが良く生きやすいよね、って言っていると思うのだけど、どうだろうか。 2025/10/02
おっきぃ
2
朱さんが自著で言及されていたローティの論文。朱さんの解説があるおかげでなんとか読むことができた。刊行イベントで人の内面を変えることはできないと言われていたことが印象に残っていて、できるのはやったことに対して公正にルールに則って処分することだけだと。そういった手続的正義が機能する社会ぐらいでいいのだろうと思うし、それ以上は望めないだろうし、望むから争いになるのだろう。そんなことを考えた2025/03/15




