内容説明
榊詩音の初恋は十一歳の頃、天文クラブのイベントで一緒に星空を見た男の子、芹沢周に恋をした。満天の星の下で、うながされるまま宮沢賢治の『星めぐりの歌』を口ずさんだことを彼女はよく覚えている。それは詩音にとって美しい思い出だった。高校生になり周と再会した時、彼女は病気で余命一年と宣告されていた。詩音は病気であることを隠し、想いを秘めたまま、周と交流を重ねていく。しかしやがて、病気のことを周に知られてしまう。そしてそれは、ふたりの、千年を重ねる物語の始まりだった―。
著者等紹介
西村悠[ニシムラユウ]
2004年に『二四〇九階の彼女』(電撃文庫)で第5回電撃hp短編小説賞銀賞を受賞。小説の発表を行いながら、主に女性向け恋愛アドベンチャーのシナリオライターとしても活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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稲荷
7
死の運命にある主人公を助けるため、周という少年が奮闘する話。何度も時を巻き戻し、繰り返しても諦めない周はすごく一途で優しかった。少し切ない部分もあるけど、あのラストでよかったかな。2020/02/17
灰音
3
はじめは日記的な書かれ方した小説なのかなと思っていました。 ですがそれは最初だけで中盤からグイグイ引き込まれあっという間に読破。とてもいいお話でした2020/09/15
葉月文
2
数多の月日を巡る魂の旅。死と共にある少女と、死を見続けた少年の結末は胸に強く来るものがあった。とても好きなタイプの話。故に、個人的な好みの問題として、もう少し印象的なエピソードが欲しかったなというのが正直なところ。好きな話だったから、欲が出るというか。星は巡る。月日は重なる。幾千の旅を経て、いくつもの時を超えて、それでもあなたを愛している。これは歌だ。星を巡る、愛の歌。そして彼がその真実にたどり着いた時、物語はハッピーエンドを迎える。とても綺麗な結び目と共に。どこまでもどこまでも二人が共に行けますように。2022/01/31
Tenco
2
タイトルから何となく予想できるとおり、いわゆるタイムリープもん。使い古されたと言っちまえばそれまでだし、「刻渡り」に関する制約などにも特別珍しいところはない。けど、『銀河鉄道の夜』をモチーフにしてるだけあって切ないんだよな。西村作品はいつもそうだ。お互いを思いやるが故にすれ違い、ヤキモキするというよりは喉が詰まるくらい哀しくなる。結末がハッピーエンドだったとしても。それが不思議。2019/12/22
ゆー
0
2部構成。一部が女の子の視点、二部が男の子の視点です。こういうの好きです!2020/04/04