内容説明
異質な個性を和歌表現史の中に位置づける。理念や思想を詠み込む歌いぶりが和歌史の中できわめて異例だった憶良。その生涯をたどりつつ、和歌のみならず散文世界の意義についても読み解く。いま、なぜ憶良を読むのか―生・老・病・死をめぐって、憶良が積み重ねた思索は、現代においても大きな意味をもつに違いない。全作品を全訳読解!
目次
序 いま、なぜ憶良を読むのか
1 奈良時代前期の和歌の状況と大伴旅人
2 山上憶良の前半生 筑前守となるまで
3 日本挽歌 旅人に贈られた亡妻挽歌
4 嘉摩郡三部作 この世に生きることとは
5 鎮懐石の歌
6 大伴旅人の松浦郡巡行をめぐって
7 七夕歌十二首と秋の七草の歌
8 旅人との別離
9 大伴熊凝の歌 不慮の死を遂げた一青年への挽歌
10 志賀の白水郎の歌 海難死した荒雄の悲劇
11 貧窮問答歌 思想を抱え込む歌
12 好去好来歌 遣唐使の無事を祈る
13 沈痾自哀文 病の現実といかに向き合うか
14 俗道悲嘆の詩 魂の悲痛な叫び
15 老身重病経年辛苦、及児らを思ふ歌
16 辞世の歌 士たることの自負
17 古日に恋ひたる歌 憶良の到達点
著者等紹介
多田一臣[タダカズオミ]
1949年、北海道に生まれる。1975年、東京大学大学院修士課程修了。千葉大学助教授、東京大学教授、二松学舎大学教授等を歴任。現在、東京大学名誉教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ネギっ子gen
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【故に知る、生るれば必ず死有りといふことを。死を若し欲(ねが)はずは、生れぬに如かず(「俗道悲嘆の詩」の序)】 “和歌史に屹立する孤峰”である憶良の作品を一つひとつ分析し、和歌や散文の意義について読み解く書。<憶良の教養の根底には大陸の思想・文化がある。それによって培われた学殖は、その和歌の隅々にまで及んでいる。律令社会の負の部分に目を向けたのも、海彼の作に先例があることを意識したためでもある。おそらく憶良は、士太夫としての自負を、終生抱き続けた人物であった。それゆえ、その生き方には儒教倫理がある>と。⇒2026/02/05




