内容説明
阿部昭没後三十年。「内向の世代」の代表的作家であり、私小説の書き手であり、短編小説の名手でもある阿部昭の傑作短編選集。人生の一部分を切り取ったような珠玉の短編小説たちから、わたしたちの「人生の一日」が発見できるはずです。簡潔で平明な文章ながら、鋭い観察眼で人々の生活を表した名短編集です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
市太郎
32
読み終えて物置に積みあがっている本群の一番上にそっと本を置いてみて、装丁の美しさに気づく。良い本に対しては自分なりに敬意を払う。読友さんのレビューに惹かれてwebのお試し「天使が見たもの」を読んで衝撃の内容に一瞬購入を躊躇したが、不思議と心に残ったので買って全て読んだ。文章が読みやすく完読出来るという自信にも繋がった。どれも確かに珠玉。好みの短編集だった。何でもないような出来事が後々まで心に残る事がある。まさにそんな感じ。シンプルなものこそ、いつまでも心に残る。また一遍一遍ゆっくり読み返してみたい。2022/06/23
ぼむ☆
19
貧困、頑固な元軍人の父、母の苦悩、思春期といったテーマの短編が多い。戦中、戦後の育った環境の格差や複雑な思い、鼻の奥にツーンとくるような深いペ-ソスがユ-モアを交えて綴られる。フィクションだろうけど切実に感じるリアリティーは著者の実体験が基盤にあるに違いない。読んでいると、実際にこのような気持ちになったことが自分にもあったな、と忘却された記憶や気持ちが呼び起こされることもしばしば。当時の日本をリアルに知らなくてもノスタルジーを感じさせてくれると共に自分が見落としてきたものを気づかせてくれる珠玉の短編たち。2022/07/26
メルキド出版
4
「人生の一日」2020/12/07
秋田の読書会「あなたと推し本」(二代目)
0
読書会にて紹介された本。短編集より大いなる日や司令の休暇の紹介がありました。ぐっと迫る文章が短編ならではの魅力かな。2023/01/29