出版社内容情報
森田真生[モリタマサオ]
著・文・その他
内容説明
日経新聞「プロムナード」全25回ほかを収録。『数学の贈り物』から3年半、著者に訪れた大きな変化の感覚が息づくエッセイ集。
目次
第1章 プロムナード(散歩へ;網;言葉を生きる;時差;転ぶ;数学の演奏会;「わかる」と「操る」;「アリになった数学者」;心が降り立つ;精進;役に立たない;数学の起源;未完の種;メタメディア;日本語の数学;生きがい;思い出す;メッセージ;読み、書き、数学;懐かしい場所;爽やかな風;学校の未来;得ることと手放すこと;「正しさ」の正しさ;偶然の散歩)
第2章 偶然の家族(翁;二つの奇跡;生命;旅;家族;祖父へ)
第3章 ともに歩く(ともにあること;じっとその場で;道草の記憶;遅々として、遠くまで;家は思い出;一冊の本;誰にもわからない未来へ;月食;生きる)
著者等紹介
森田真生[モリタマサオ]
1985年、東京都生まれ、独立研究者。京都東山の麓にある研究室を拠点に、研究・教育・執筆のかたわら、国内外で「数学の演奏会」や「数学ブックトーク」など、ライブ活動を行っている。2015年10月刊行のデビュー作『数学する身体』(新潮社)で第15回小林秀雄賞を受賞。他の著書に『計算する生命』(新潮社、第10回河合隼雄学芸賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
123
「独立研究者」という奇妙な肩書の森田真生さん。これまで「数学する身体」「数学の贈り物」「計算する生命」の三冊を読んで、数学者として、岡潔先生やデカルトやカントなどを論じる著者のユニークな立ち位置を味わった。本書は、二人の小さな息子さんや祖父母、そして宇宙・自然などに思いを馳せたエッセイ集。「欧州の地上階は0階。日本のように1階の下が地下1階(-1)という方が不合理」など数学者ならではの感覚が面白い。「おススメの本は?」と高校生に問われて「おススメの本だけ読んでるようではいけない」という天邪鬼の答えも好き。2023/02/26
森の三時
43
数学者のエッセイです。ゆっくりと歩く。足元を見て季節の変化を感じる。最短距離を求めてしまう心、急かされるように答えを出す日常から離れ、歩く。見え方が変われば世界が変わる。わたしは、朝晩の通勤時に駅までの道のりを歩くとき、忙しいときはつい仕事の事を考えてしまうのですが、心に余裕を持たせるために、空を見上げて、木を見て花を探します。2023/02/05
ムーミン
36
簡単だけど深い言葉のオンパレード。武田邦彦先生がよく言われる「絡合」とつながる要素がたくさんありました。2022/11/12
阿部義彦
23
数学者である、森田真生さんのエッセイ集。生活と思索そして人生の所感等を思いつくまでに自由に綴っています。センスの良いミシマ社の装丁が光ってます。紙の種類も数種類で横から見るとマダラ状になっていて美しいです。単なる日常報告にはならずにそこから思弁的に思考が広がり永遠という一瞬を切り取ります。『数学する身体』で小林秀雄賞を受賞したそうで、そっちも探して読みたいです。『あらゆる行動が意味あるデーターを生み出してしまう時代。役に立たない時間を過ごす事は益々希少で贅沢な事になってゆくのだろう。』抽象と具象の衝突。2023/01/18
羽
22
わたしには今、生後2ヵ月の息子がいる。彼を抱っこして散歩すると、いくつもの偶然がある。「風がきもちいいね」「竹の鳴る音がきこえるね」「ほら、桃の花がきれいに咲いているよ」彼に話しかけながら、わたしもまた、偶然出くわしたこの世界の素晴らしさを味わう。まぶしそうに空を見上げ、目をつむって頬に風を感じる彼が愛おしくて、わたしの心は今、どうしようもないほどの幸せで満たされている。2023/04/05