内容説明
『小商いのすすめ』から十年。消費資本主義がいよいよ行き詰まる中、各地で「小商いの哲学」を生きる人に贈る。
目次
1 欲望の呪縛から逃れる
2 非私有的生活への足掛かり
3 リナックスという共有地
4 共同体のジレンマ
5 家族の崩壊
6 消費資本主義から人資本主義へ
7 共有地をつくる
著者等紹介
平川克美[ヒラカワカツミ]
文筆家、「隣町珈琲」店主。1950年、東京・蒲田の町工場に生まれる。早稲田大学理工学部機械工学科卒業後、翻訳を主業務とするアーバン・トランスレーションを設立。1999年、シリコンバレーのBusiness Cafe Inc.の設立に参加。2014年、東京・荏原中延に喫茶店「隣町珈琲」をオープン(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
涼
59
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/06/post-715e4a.html 暮らしていく上の「緩衝地帯」としての共有地というところでしょうか。2023/06/10
踊る猫
34
読書メーターやブクログがそうであるように、なんらかの私的財産を所有したままに留めておくのではなく公に提供して「共有」できる財産に変えること。その意義が本書では語られる(phaや鶴見済がやんわりと資本主義社会に異を唱えているのを思い出す)。語り口が柔らかく、押しつけがましさがないところがいいと思った。私たちにも実践できそうな「オープンソース」の思想であると思い、その実践を通すことでギスギスした人間関係から成り立つ資本主義ではない柔らかな共同体主義を立ち上げることができるのではないかと著者は問うていると考える2022/04/05
ちくわ
27
生産性の御旗の下、目まぐるしく詰め込んでいく資本主義には疲れたが、手にした自由を手放し、前近代的地縁共同体に戻る勇気はない。そこで筆者が実践したオープンスペース「隣町珈琲」の特徴として、匿名性の維持や食い扶持の確保など、学びは多いです。(☆3)2022/10/30
*
27
【消費資本主義から"人"資本主義へ】人を大切に、機嫌よく生きる"共有地"。それは、『「人新世」の資本論』で脚光を浴びたコミュニズムとも違うらしい。その実践を学ぶ中で、いったい自立とは何だろう…と考えてしまった。自己責任論も同調圧力もかわしたいけど、それには生きるセンスが要るような気がして▼お互いを商品化して生きる世の中は、息苦しい。でも、ひとり「適応できない不満」を叫んでも虚しい。日々の人間関係から変えていくしかない。だから先ずは、仕事・買い物・SNS以外の会話を大事にしてみたいと思った。2022/03/13
K1
22
味噌や醤油を貸し借りしていたように自分の所有格を解除して、同じ場所に集まる他人にちょっと貸してあげられる「場」であり、他者が喜捨してくれたものを借りられる「場」が「共有地」である。使わなくなった椅子を道往く人に休んでもらえるように自宅の軒下に並べるようなものですーあぁ、なんかいいなぁ。2023/01/20