内容説明
理想や正解にしばられない、育児のはなし。里帰り、病気…色々あっても自分たちなりの健やかさで歩んだ7年間。
目次
第1章 まだ父になっていなかった
第2章 父になっていく
第3章 生活というドラマ
第4章 社会とつながりなおす
第5章 「家」や「血」をこえて
第6章 兄になったじゅん
著者等紹介
工藤保則[クドウヤスノリ]
1967年、徳島県生まれ。龍谷大学教授。専門は文化社会学。著書に『カワイイ社会・学』(第25回橋本峰雄賞、関西学院大学出版会)などがある。現在、7歳の息子と2歳の娘の子育てまっただ中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ツキノ
25
2021年3月発行。出産、育児、産後のことはわたしにとって大きな関心事だけれど、自身の経験からだいぶ遠くなり読む本も減っていたところへこの本が舞い込んだ。文化社会学が専門の大学教授が46歳で父親に(妻はひとまわり下)。予期せぬことにとまどい、生活が一変。このエッセイは息子じゅんくんが5歳からWEB連載、7歳(2020年春、コロナ禍で保育園卒園、小学校入学)までを描く。当事者でありながら静かな筆致、「代弁している」と感じた文章などを引用しての記録。父親になる男性に「読んでみたらいいよ」とすすめたい。2021/08/07
のりたまご
12
他人にとっては「ささやかな日常」であっても、当事者にとっては積み重ねてきた「かけがえのない日常」であると思い出させてくれる。子育ての渦中にいる時はただ必死で、後悔も愛しさも揺らぎも後になって知る。ちいさな一つ一つの出来事に夫婦で向き合い、丁寧に拾い上げていく著者の姿勢に、驚きと感銘を覚える。経験した内容は違うはずなのに、感情を共感し当時の思いを追体験できる喜び。『男性の失敗話/女性の苦労話 ではない、育児の語られ方がもっとあっていいはずだ』この言葉に著者の矜持が感じられる。2021/03/28
tetsubun1000mg
11
40代で結婚して父親になった大学の先生のお話だが、意外にも普通のお父さんの苦労を体験されていた。 社会学者の面も少し出てくるが、子供ができたことを記録に残してやりたいという気持ちがあって書かれたような感じがしました。 子供が生まれたときに、子供のために夫婦が別々に手紙を書いているのだが歳を重ねて子供を授かった嬉しさが表れていた。二人目が生まれて忙しくなり子供同士の扱いに苦労もされているようだが、みんな経験しているんですよ。 大学の先生なのでWeb会議を自宅でやるも、子供がPC画面に表れてしまうのが楽しい。2021/06/11
鳩羽
8
#読了 タイトルどおり、46歳で父になった著者が、妊娠し不安になったり体調を悪くする妻を支えながら、子育てや家事の絶え間なく(ときに達成感も無く)続く日々を記録して、子を持つことや地域と繋がること、社会とどう連結していくかについて綴ったエッセイ。美文とは違うのだろうが、素直で端正で、すんなりと入ってくる文章だった。育児の大変さや実情を、男性側から語る本はこれからもっと出てくるだろうし、出てきて欲しい。失敗談でもいいと思う。男性の育児話も当たり前のこととして、開かれた場に出てくることが大切なのではないか。2021/05/27
Koji Harasawa
6
実子のいない私たち夫妻は今、養子を迎える準備をしています。子育ての経験がない自分たちが養父養母になれるのか、とても不安に思っています。著書を読み、そうか、誰もがはじめは子育ての経験なんて持っていないんだ。と、当たり前のことに、すごく納得がいきました。それにしても、観察と記録がすごいとしか言い様のない文章でした。悲喜こもごも、一人で生活しているだけでは、夫婦で暮らしているだけでも、感じ得ることができない感情があったことがよくわかります。日常こそが愛おしい。そう思えました。2021/03/16