感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fwhd8325
62
とても文学的な日記でした。言葉の一つ、一つを大切綴っていることがよくわかります。日記は、人に向けて書くもので無く、あくまでも自分のためのものだと思います。まして、全く知らなかった方の日記なんてと思いましたが、これが素晴らしい文学でした。過度に著者へ感情移入することもありませんが、毎日の日記が、私たちへのエールになることもあります。素敵な作品です。2023/05/09
金城 雅大(きんじょう まさひろ)
21
自分のありのままを自分の言葉で曝け出すことは、私には到底できない。 この著者が「パジャマ」なら、さしずめ私は極寒の地を生きる先住民の如き着込みようだ。着膨れが過ぎる。 理論武装して、借り物の言葉でさも自分のことを語ったように取り繕う。こんなことを繰り返すうちに、いつのまにかそれが得意になり、さらにそればかりやっていたら、いつの間にかそれしかできなくなっていた。 自分がした経験やそれを通じて湧いた感情を、自分の言葉で紡ぐ。それを衆目に晒す。 憧れるし、とても尊敬する。2022/12/24
qoop
8
日々の悩み悶える様子を衒わず装わず記し、内面と向き合っていく過程を書いた日記文。セラピー的な効果/意味合いもあるのだろうと察するが、本書に関してはこちらがどう思うとか、あまり語る言葉がないし、語る必要もない。解放系と閉鎖形の区別がない、現代的な私小説の形かとも思える。昨今の日記本ブームとはまた距離を置いたものとして読むべきなのだろう。2022/12/23
さんぽ
4
そでの文を読むだけで不思議と満たされた気持ちになる。天気を記録する言葉が素敵で、ぱらぱらめくってずっと見ていたくなる。住む場所も生き方も自分とは全く違う落合さんの日々の中にほんの少し自分と重なるものを見つけ、なぜか唐突に「あ、なんか、生きてるなぁ」と思った。この人も私も誰もみんな、同じだけど同じではないその日を生きているということが、すとんと落ちて来た感じ。日記を書く意味を考える。明日には消えてしまうような瞬間的な感情を残しておきたくて私も日記を書いているけど、そうじゃない意味をいつか見つけられるかな。2023/01/07
シチュー当番
3
略歴だけを見ると、若くしてシェアハウスと出版社と書店を立ち上げた凄腕な女性。 しかし日記を通して伝わってくるのは、家族関係にひしゃげたり知人の些細な一言で一喜一憂しながらも、お仕事のこれからを模索する姿。 そうだ。人生ってこうある。 略歴だけで分かるもんか。2024/11/28