内容説明
私たちは生まれてからずっと、衣服とともに生活している。それなのに、衣服を語る言葉が貧しいのはなぜだろう。あいまいな用語が流通するファッションの世界に向き合い、本書は「言葉の定義=批評のためのインフラ整備」を試みる。ファッションをめぐる新たな思考が、この本からはじまる。
目次
はじめに(ファッションの定義;衣服について思考すること ほか)
第1章 ファッションデザインとは何か(ファッションとファッションデザイン;デザイン=外観なのか ほか)
第2章 スタイルと装飾(シルエットで語られる歴史;様式と文体 ほか)
第3章 モダニズム再考(モダニズムとは装飾の排除なのか;ミニマリズム―反復と差異 ほか)
第4章 衣服と身体(衣服をめぐるトラブル;第一の衣服としての身体 ほか)
著者等紹介
蘆田裕史[アシダヒロシ]
1978年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程単位取得退学。京都服飾文化研究財団アソシエイト・キュレーターなどを経て、京都精華大学ポピュラーカルチャー学部准教授、副学長。専門はファッション論。ファッションの批評誌『vanitas』(アダチプレス)編集委員、本と服の店「コトバトフク」の運営メンバーも務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅん
8
衣服における言葉の混乱を解きほぐして、普遍的であるにも関わらず衣服について語るのが難しい現状を変える、という明快な目的を持った一冊なのだけど、専門性の高い話も整理されていて、目的とスタイルの一致を感じた。「デザイン」「モダニズム」といった、ジャンルや時代で意味合いがずれている言葉を変遷も含めて考察しているから、美学の本としても読める。「流行」をどう考えるかという問いは現代の人に大きく関わっているから面白い。ファッション史が美術や文学に比べて相当に若いもの(フランス革命が一つの契機)であると知った。2021/06/07
Go Extreme
2
ファッションの定義 衣服について思考する なぜ衣服を着はじめたのか ファッション・3様態 ファッションデザイン:ファッションとファッションデザイン デザイン=外観なのか 方法論 ブランド・システムのデザイン 2つの差異化 モノのデザイン スタイルと装飾:シルエット 様式と文体 衣服と言語の類似性 配置と構成 機能的な装飾 モダニズム再考:装飾の排除なのか ミニマリズム―反復と差異 モダニズム―ジャンルの固有性 ボードレールとモダニティ 衣服と身体:第一の衣服・身体 パレルゴン・衣服 潜在的身体としての衣服2021/04/28
TOMYTOMY
2
蘆田さんのやり方は好きである。もっとファッションに批評をファッションという言葉の誤解を解く。2021/03/09
Erikom
1
古いがあるから新しいがある ファッション業界の前提は今でもこの考え方なのかなあと。少しずつ変わってきているようにも思うけれど、"流行"は消えないだろうな。 あと、性で人間を二分しなくても良いのでは、という考えにハッとした。 最近ユニセックスの服も増えてきているけど、確かにそんなに大差はないな。 2021/03/21
ラバ
1
シャネルのスタイル発言から始まる第二章が面白かった。装飾に機能を認めるところが良かった。2021/04/02