感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
38
巻頭はウクライナ旅行記だ。戦時下に旅行という表現は不謹慎ではある。しかし、この逆説こそが東の胆であり、後に評価の高まった『ゲンロン6』のロシア特集のように、時代が本書を発見することだろう。筆者が体験して感じたことを書くという反時代的なテイストだ。その意味は2つの複雑さにある。ひとつは現代の戦争は日常と戦時下が入り混じっていて、日本に語り継がれている隣組や憲兵による抑圧された社会はない。何より戦争は窮乏の中、我慢を強いられることになると聞いていた。実際には、日本の戦後教育では決してつながらない消費社会と軍国2024/04/21
ありんこ
3
難しい内容の様々な論考をじっくりと読むことができて、良かったです。特に東氏のウクライナに関する論考と、須藤輝彦さん、新川帆立さん、3名の座談会、まついさんのマンガが良かったです。ゲンロンを読むのは初めてでしたが、継続して読みたいです。2024/06/09
sucksuckhello
1
戦争とポピュリズム、国家による言論統制などの論考が多く、これまでよりも格段に重たい雰囲気の一冊となっていた。SNSやウェブのニュースでは良くも悪くもアテンションを引くための過剰な演出が飛び交う中で、ポップだが充実した内容を適度な頻度で届けてくれるゲンロンのような雑誌はとても貴重である。2024/05/14
O. M.
0
色々な原稿があるが、やはり東浩紀「ウクライナと新しい戦時下」が白眉。「かの国でいま展開しているのは、欧米的でリベラルな価値観があるていど浸透し、ネットもスマホも普及した民主的な社会が「有事」にどのように反応するかという、たいへん残酷な社会実験だといえるからだ。」 他には、映画監督フルジャノスキー氏のインタビューなども興味深い内容。多くのコラムでは、普段の日常生活では一ミリも考えないような難しい哲学が提示され、頭の体操になる。読み慣れていないと難しいかも知れないが、時々読むには良いか。2024/12/03
なをみん
0
ウクライナの戦争の想像のできない感じておきたい現実の話もちゃんと聞けたし、イスラエルの「具体性を伴った共存に向けて」の話もとても重くて読めて良かった。つい型通りの話になりがちな戦争の話を率直で新しい角度で読めるのはさすが実践的な現代哲学者ならではというかなんというか。同性婚もアジャイル開発も訂正可能性の思想の話だったのか。とか思考も深まったし「制度批判は制度化されていうことによって意義を持つ」というアートの話も読めて良かったし「ChatGPTにあまり話しかける気になれない」ってなんだか共感。2024/11/14
-
- 和書
- 四人のおばあちゃん