内容説明
“見えないもの”とされているすべての母親たちへ―。重い障害を持つ「医療的ケア児」にずっと付き添う母親が、校内で“わたし”自身にカメラを向けたとき、社会の問題が浮き上がってきた。
目次
透明人間 Invisible Mom
お母さんは、自由だ(山崎ナオコーラ)
隠された母親たち(櫛野展正)
著者等紹介
山本美里[ヤマモトミサト]
1980年東京都生まれ。写真家、医療的ケア児の母。2008年、妊娠中に先天性サイトメガロウイルス感染症に罹患した第3子が障害を持って生まれ、「医療的ケア」を必要とする子の親となる。その息子が特別支援学校小学部に入学するとともに、週4日の校内待機の日々が始まる。2017年に京都芸術大学通信教育部美術科写真コースへと進み、息子に常に付き添う自分自身を被写体にした写真作品の制作を開始。同学学長賞も受賞した一連の作品を2021年11月に『透明人間Invisiblemom』を再構成・再編集した本書を出版。同年、別作品で「MONSTER Exhibition 2023」優秀賞受賞。現在も医療的ケア児と特別支援学校の保護者付き添いをテーマに作品制作を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あじ
23
髪の毛を金髪にしたのは、この生活が始まって劇的に増えた白髪を隠すためです──。写真家山本実里さんは、医療的ケア児を持つ母親だ。週4日、息子さんに付き添っての登校を余儀なくされている。お母さんだって登校拒否をする。透明人間のベールに包まれた“光と闇”を可視化した写真集。表現と本音で輪郭が浮き彫りになっていく。2024/05/02
猿田彦
5
医療的ケア児が、通学を望むなら親は年何回しかない緊急時に備えて学校に待機しないといけない。「学校は教育現場であり、子どもたちの自立の場です。必要なとき以外、お母さんは気配を消していてください。」黒子にもなれない透明人間で、母は自分のアイデンティティーさえ消していく。この本が、多くの家族の支えとなったであろうことは容易に想像出来る。作者の山本さん自身にとってもセルフセラピーとして機能したようだ。デイサービスでは送迎バス🚌に乗れるし付き添いは要らない。義務である教育の場でこんな不平等があっていいはずがない。2024/03/10
のんたろう
3
著者は重い障害を持つ医療的ケア児を持つ母で、1日6時間×週4日、学校の付き添いをしている。透明人間というのは、そこで置かれた自身の立場を表した言葉だ。いるのにいないようにふるまうことを強いられる。適応障害になるなどつらい時期もあったが、写真を撮ることを通して客観視できるようになったそう(IKEAの写真などユーモアにあふれてる!)自治体ごとの制度の違いに対する疑問や、卒業後・親亡き後の生活の不安。だが、こんなに大変ですと訴えている本ではない。母親に過度に責任を求める日本の風潮や教育システムを考えさせられる。2024/03/10
貧家ピー
2
THE BIG ISSUEで紹介されており購入。表紙のインパクト大、重い障害を持つ医療的ケア児を持つ母親である著者が、ほとんどないケアのために閉じ込められた学校での自分をモデルにした写真集。通学のためには付き添いが必要と言われながら、「教育の場なので、気配を消してください」と言われる不条理が、ユーモアの中にもにじみ出る写真の数々。 『「お母さんがお願いします」の一声で、この世界の大半の問題は解決できるように出来ている。』という文章にハッとした。2025/03/23
sayaka
2
写真も文章もクスッとしたりグサグサきたり…。こんな形で学校に「いる」ことを強いられている親がいることを知らなかった。決して個人の問題ではないと思う。もっと知られなくてはいけない。2024/02/22
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